歴史
路線名は磐越西線と同じ二字を組み合わせたもので、旧国名の磐城(岩代)の「磐」と越後の「越」に由来し、「東(とう)」は東を意味する。二つの磐越線は郡山で互いに突き合わせる形で接するが、向きは正反対で、東線は海側のいわきへ、西線は新潟方面へと向かっており、両者がひとつの通し路線であったことはない。磐越東線には、近くを流れる阿武隈川にちなんだ「ゆうゆうあぶくまライン」の愛称が付けられており、その経路の多くで高地を貫く夏井川の渓谷沿いを走る。
私鉄として始まった西線とは異なり、磐越東線は当初から国によって、すなわち鉄道院(官設鉄道)の手で建設された。浜通り(福島県太平洋沿岸)の平(現・いわき)と中通り(同県中部)の郡山とを結ぶ「平線」(俗称:平郡線)として計画され、平側が平郡東線(へいぐんとうせん)、郡山側が平郡西線(へいぐんさいせん)という二つの線名で両端から開業した。
建設は郡山側から始まった。1914年7月21日、平郡西線として郡山駅 - 三春駅間(11.9 km)が開業した。1915年3月21日には三春駅 - 小野新町駅間(33.6 km)が延伸開業し、線路は東へ山中へと延びていった。海側はこれに続き、1915年7月10日に平郡東線として平駅 - 小川郷駅間(10.3 km)が開業した。その後二年間、二つの線は夏井川流域の山中で互いに届かないまま留まっていた。
この空白は1917年10月10日、小川郷駅 - 小野新町駅間(29.8 km)が開業して埋められた。直通運転の成立とともに、平郡西線は平郡東線に編入され、結ばれた平 - 郡山間は、郡山以西の磐越西線と区別して磐越東線と改称された。その後の数十年で、1921年の磐城常葉、1948年の菅谷、1950年の要田など、いくつかの途中駅が新設された。
日本国有鉄道の時代、この路線は蒸気機関車で運転される地方の横断路線であった。1959年9月22日には準急「いわき」が新設され、1966年に急行へ格上げされた。1968年10月1日には、貨物列車と一部の旅客列車になお用いられていたD60形蒸気機関車がDD51形ディーゼル機関車に置き換えられ、無煙化が達成された。最盛期には常磐線の水戸と福島・仙台との間をグリーン車連結で1日2往復していた急行「いわき」は、山越え経路からの利用転移に伴い、1982年11月14日に廃止された。1987年4月1日の国鉄分割民営化により、路線はJR東日本に承継され、貨物営業は大越駅 - 郡山駅間を日本貨物鉄道(JR貨物)が引き継いだ。平駅 - 大越駅間の貨物営業は同日廃止された。
JR化後、この路線は気動車によるローカル線となった。1991年3月16日からは全旅客列車が郡山運輸区配置のキハ110系気動車に置き換えられ、一部列車でワンマン運転が始まった。平駅は1994年12月3日にいわき駅へと改称された。貨物輸送は細り、やがて完全に消滅した。大越からのセメント輸送であった最後の貨物列車は2000年3月10日に廃止され、JR貨物の大越駅 - 郡山駅間の鉄道事業も2001年4月1日付で廃止された。1995年の並行する磐越自動車道の開通により長距離旅客の多くは高速バスへ移り、鉄道は主に地域の通勤・通学輸送を担うこととなった。
21世紀には、この路線は自然災害で繰り返し不通となってきた。2011年3月11日の東日本大震災では全線が不通となり、運転は段階的に再開され、3月31日に船引駅 - 郡山駅間、4月13日に小野新町駅 - 船引駅間、そして4月15日に最後のいわき駅 - 小野新町駅間が再開して全線復旧した。2019年10月の令和元年東日本台風(台風19号)では、盛土や橋梁の流出により再び寸断され、11月6日に小野新町駅 - 郡山駅間が、11月16日に全線が運行を再開した。
年表
- 19147月21日:官設の平郡西線として郡山駅 - 三春駅間(11.9 km)が開業。
- 19153月21日:平郡西線が三春駅 - 小野新町駅間(33.6 km)を延伸開業。
- 19157月10日:海側で平郡東線として平駅(現・いわき駅)- 小川郷駅間(10.3 km)が開業。
- 191710月10日:小川郷駅 - 小野新町駅間(29.8 km)が延伸開業して全通。平郡西線を平郡東線に編入し、平 - 郡山間を磐越東線と改称。
- 19214月10日:磐城常葉駅を新設。
- 19599月22日:準急「いわき」を新設(1966年に急行へ格上げ)。
- 196810月1日:貨物列車と一部の旅客列車に残っていたD60形蒸気機関車がDD51形ディーゼル機関車に置き換えられ無煙化を達成。
- 198211月14日:急行「いわき」(最盛期2往復、グリーン車連結、水戸 - 福島・仙台間を当線経由で運転)を廃止。
- 19874月1日:国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道(JR東日本)が承継。日本貨物鉄道(JR貨物)が大越駅 - 郡山駅間(31.3 km)の貨物を引き継ぎ、平駅 - 大越駅間の貨物営業は廃止。
- 19913月16日:全旅客列車が郡山運輸区配置のキハ110系気動車に置き換えられ、一部列車でワンマン運転を開始。
- 199412月3日:平駅をいわき駅に改称。
- 20003月10日:大越駅からのセメント輸送であった大越駅 - 郡山駅間の貨物列車が廃止され、当線から貨物列車が消滅。
- 20014月1日:日本貨物鉄道の大越駅 - 郡山駅間第二種鉄道事業を廃止。
- 20113月11日:東日本大震災により全線が不通。運転は段階的に再開し、3月31日に船引 - 郡山間、4月13日に小野新町 - 船引間、4月15日にいわき - 小野新町間が再開して全線復旧。
- 201910月 - 11月:令和元年東日本台風(台風19号)により盛土や橋梁が流出して不通。11月6日に小野新町 - 郡山間、11月16日に全線が運行を再開。
出典
事実確認日:2026年6月14日