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秩父本線

Chichibu Main Line

秩父本線(ちちぶほんせん)は、埼玉県の羽生駅と秩父市の三峰口駅とを結ぶ、私鉄の秩父鉄道が所有・運営する営業キロ71.7キロメートルの鉄道路線である。北は羽生から関東平野を行田・熊谷を経て横切り、寄居・長瀞・秩父を経由して埼玉県西部の山間へと入り、終点の三峰口に至る。全線が単線で、軌間は1,067ミリメートル、直流1,500ボルトで電化されており、駅数は貨物駅を含め39駅(うち旅客駅は37駅)である。秩父鉄道で旅客営業を行う路線はこの1路線のみで、正式名称は「秩父本線」であるが、沿線住民には「秩父線」あるいは「秩父鉄道」として広く親しまれている。良質な石灰石を運ぶ貨物輸送と、蒸気機関車牽引の観光列車「SLパレオエクスプレス」の双方で知られる路線である。

さいたま深谷市本庄市小鹿野町ときがわ町小川町坂戸市20 km
秩父本線の路線図 · 境界: 国土数値情報(国交省)・GSI

歴史

この路線の最も古い区間は、秩父鉄道ではなく前身の上武鉄道(じょうぶてつどう)によって建設され、1901年10月7日に熊谷駅 - 寄居駅間が蒸気運転で開業した。その後、建設は荒川の谷に沿って段階的に西へと進められ、1903年4月2日に寄居駅 - 波久礼駅間が開業し、1911年9月14日には波久礼駅から、現在の長瀞付近にあった初代の秩父駅までが延伸された。会社は1916年2月25日に上武鉄道から秩父鉄道へと社名を変更しており、1914年10月27日には路線はすでに現在の秩父駅の位置まで達して、それまでの終点は改称されていた。

秩父鉄道の名のもとで路線はさらに延びていった。1917年9月27日に秩父駅 - 影森駅間が開業し、1918年には石灰石の採掘地へ向かう貨物専用の武甲線が影森駅から開業した。一方、もう一つの会社である北武鉄道(ほくぶてつどう)が平野部の北側の取付け区間を建設し、1921年4月1日に羽生駅 - 行田駅(現・行田市駅)間を開業して、翌年には熊谷に達した。秩父鉄道は1922年9月18日に北武鉄道を合併し、路線の二つの部分を一つの運営者のもとで一本の路線へとつなげた。

電化は1922年に行われた。1922年1月20日に熊谷駅 - 宝登山駅(現・長瀞駅)間が直流1,200ボルトで電化され、翌日には秩父駅 - 影森駅間が、同年5月には残る区間が電化されて、路線はほぼ全長にわたって電車運転となった。最後の延伸は1930年3月15日で、影森駅 - 三峰口駅間の山間区間が開業し、この区間は当初から電化されていた。架線電圧はのちの1952年2月1日に全線で1,200ボルトから1,500ボルトへと昇圧され、これが現在も用いられている方式である。

貨物輸送、とりわけ石灰石の輸送は、この鉄道の経営の屋台骨となった。秩父の武甲山、のちには隣接する群馬県の叶山で採掘される良質な石灰石が大量に運び下ろされ、1970年代までは貨物輸送が秩父鉄道の鉄道収入のおよそ6 - 7割を占め、会社は黒字を計上していた。かつてはセメントも運ばれ、また路線は国鉄線と接続しており、埼玉県外のヤードとの間を貨車が直通することができた。その後セメント輸送は全廃されたものの、石灰石の輸送は今も続いており、この路線の貨物取扱高は日本の私鉄の中で今なお上位に位置している。

路線の状況は1980年代に変化した。セメント需要の減少と、秩父の列車が直通していた東武鉄道の貨物ヤードが1986年10月に貨物の取り扱いを廃止したことにより、輸送の多くがトラックへと移り、貨物事業は赤字に転じた。これに対し旅客輸送は充実が図られ、1969年10月1日に急行「秩父路」の運転が始まり、1989年4月1日には西武秩父線との直通運転が開始され、1999年12月1日にはワンマン運転が導入された。また1988年3月15日には、保存された C58形363号機を用いる蒸気機関車牽引の観光列車「SLパレオエクスプレス」の運転が始まり、この路線の最もよく知られた呼び物の一つとなっている。

今日の秩父本線は、普通列車、急行「秩父路」、休日に行われる西武秩父線との直通運転、季節運行のパレオエクスプレス、そして今なおその運行を特徴づける石灰石貨物が入り混じって走っている。山間を走る鉄道でありながら、全長71.7キロメートルの全線を通してトンネルは1箇所も存在しないという特徴を持つ。2022年3月12日には全旅客駅で交通系ICカード「PASMO」と全国相互利用サービスへの対応が始まり、同年9月には「CR」の記号を用いる駅ナンバリングが導入されて、関東平野と秩父の山々とを結ぶ、近代化されつつも色濃く地域に根ざした鉄道となっている。

年表

  • 190110月7日:上武鉄道が最初の区間である熊谷駅 - 寄居駅間を蒸気運転で開業。
  • 19034月2日:寄居駅 - 波久礼駅間が開業。
  • 19119月14日:波久礼駅から、現在の長瀞付近にあった初代の秩父駅までが開業。
  • 191410月27日:路線が現在の秩父駅の位置まで開業し、それまでの秩父駅は改称される。
  • 19162月25日:上武鉄道が秩父鉄道に社名変更。
  • 19179月27日:秩父駅 - 影森駅間が開業。
  • 19214月1日:北武鉄道が羽生駅 - 行田駅(現・行田市駅)間を開業。
  • 19221月20日:直流1,200Vでの電化が始まり(熊谷 - 宝登山間)、5月までに全線に拡大。9月18日には秩父鉄道が北武鉄道を合併し、路線が一体化する。
  • 19303月15日:影森駅 - 三峰口駅間の山間区間が当初から電化のうえ開業し、路線が全通する。
  • 19522月1日:全線の架線電圧が直流1,200Vから1,500Vに昇圧される。
  • 196910月1日:急行「秩父路」の運転が始まる。
  • 198610月:秩父の列車が直通していた東武鉄道の貨物ヤードが貨物の取り扱いを廃止し、貨物事業の衰退が加速する。
  • 19883月15日:保存機 C58形363号機が牽引する蒸気機関車列車「SLパレオエクスプレス」の運転が始まる。
  • 19894月1日:西武秩父線との直通運転が始まる。
  • 199912月1日:ワンマン運転が始まる。
  • 20223月12日:全旅客駅で交通系ICカード「PASMO」と全国相互利用サービスに対応。同年9月には「CR」の記号を用いる駅ナンバリングが導入される。

出典