JR線·約4分で読めます

動物園線

Keiō Dōbutsuen Line

動物園線(どうぶつえんせん)は、東京都西部の日野市にある京王電鉄(京王)の短い鉄道路線で、同社が保有・運営している。路線距離はわずか2.0キロメートルで、京王線の高幡不動駅から、多摩動物公園や鉄道テーマ施設「京王れーるランド」の最寄りである終点・多摩動物公園駅までを結ぶ単線の支線である。軌間は1,372ミリメートル、電化方式は直流1,500ボルトで、駅ナンバリングで使われる路線記号はKOである。基本的に動物園への来園者を運ぶためのアクセス路線であり、列車は二つの駅の間を完結した折り返し運転で結んでいる。

東京日野市多摩市2 km
動物園線の路線図 · 境界: 国土数値情報(国交省)・GSI

歴史

この路線は、1958年に開園した東京都立多摩動物公園へのアクセス路線として、1964年4月29日に開業した。建設工事の着工は1963年10月のことで、翌春のゴールデンウィークの休日に間に合わせるため突貫工事が行われた。当路線は開業当初から、通常の通勤輸送よりもむしろ観光・レジャー輸送を主体として構想されており、運行は一貫して単線で行われてきたが、動物園の多客に対応できるよう、開業当初から複線分の用地が確保されていた。

開業当初の輸送はレジャー客が中心であった。多摩動物公園駅の近くには、1961年に本田技研工業の子会社が開設したモータースポーツセンター兼遊園地「多摩テック」があり、動物園と多摩テックがあいまって、当支線に強い行楽的な性格を与えていた。しかし、周辺に高等教育機関が立地するにつれて路線の役割は広がっていった。路線開業と同じ1964年には明星大学が日野キャンパスを開設し、1978年には中央大学が近隣に多摩キャンパスを設けて移転を始めた。当支線は両大学への主要な通学経路となり、中央大学の多摩への機能移転が進んだ1970年代後半には利用者が大きく増加した。

2000年に競合する交通機関が開業すると、その増加傾向は逆転した。同年、多摩都市モノレール線が多摩センターまで延伸して動物園線と並行するようになり、多摩動物公園駅の南側には両キャンパスの最寄りとなる新駅・中央大学・明星大学駅が開業した。これ以降、京王の支線の利用客は大きく減少した。さらに2009年には多摩テックが48年の歴史を経て閉園し、路線に残っていたレジャー需要の多くが失われて、利用の落ち込みはいっそう深まった。

2010年代に入ると、京王はこれに対し、多摩動物公園駅周辺で自ら観光施設の開発を進めた。駅構内の展示施設として2000年3月に開業した「京王れーるランド」は、京王の電車・バス開業100周年記念事業の一環として2013年10月10日に全面リニューアルオープンし、多摩動物公園駅には「京王れーるランド」の副駅名が導入された。2018年3月には駅の隣接地に子供向け遊戯施設「京王あそびの森 HUGHUG(ハグハグ)」が開業し、周辺一帯は「キッズパークたまどう」と名付けられ、同年中には関連する「アネックス」も開業した。

車両は数十年の間に移り変わった。動物園線と競馬場線で使用されていた小型の220系は1969年9月28日に運用を終え、同じく当支線で使われていた初代5000系も1996年12月1日にさよなら運転を行い、以後は6000系が運行を引き継いだ。その6000系も2011年3月13日に定期運行を終え、現在も路線を走る7000系へと交代した。2002年からは、動物のイラストを車体にあしらった専用編成「TAMA ZOO TRAIN」が運行されており、当初は6000系、2011年からは「Tama zoo Train」と改称された7000系が用いられている。ワンマン運転は2000年10月20日に開始され、京王のATCは2011年10月2日に当線で使用が始まった。

今日の動物園線は、主に7000系の4両編成が運行する、二駅だけの小ぶりな折り返し路線である。長年にわたり一部の列車は京王線へ、さらにそれを介して都営新宿線へと直通していたが、東日本大震災の影響を受けた2011年3月13日のダイヤ改正でこれらの直通運転は休止され、さらに2021年3月13日の改正で京王線・都営新宿線双方への定期直通運転が完全に取りやめられ、支線は4両編成に統一された。並行する多摩都市モノレールは高幡不動 - 多摩動物公園間でより多くの本数を運行しているが、京王の運賃の方が安く、京王線沿線から動物園へ向かう場合には、動物園線の方が所要時間・運賃の両面で有利である。

年表

  • 196310月、路線の建設工事に着工。翌春のゴールデンウィークに間に合わせるため突貫工事が行われた。
  • 19644月29日、多摩動物公園(1958年開園)へのアクセス路線として、高幡不動 - 多摩動物公園間で動物園線が開業。
  • 19699月28日、動物園線と競馬場線で使用されていた220系が、ATS導入に伴い運用を終了。
  • 199612月1日、初代5000系が当線でさよなら運転を実施。以降は6000系での運行となる。
  • 200010月20日、当線でワンマン運転を開始。(同年には並行する多摩都市モノレール線が多摩センターまで延伸し、3月24日に「京王れーるランド」も開業している。)
  • 20023月23日、動物のイラストを施した6000系が初代「TAMA ZOO TRAIN」として運行開始。
  • 2009多摩動物公園駅近くの遊園地「多摩テック」が48年の歴史を経て閉園し、レジャー需要が減少。
  • 20113月13日、6000系が定期運行を終了して7000系へ交代。東日本大震災の影響で都営新宿線との直通運転を休止。10月2日にはATCの使用を開始。
  • 201310月10日、京王の電車・バス開業100周年を記念して「京王れーるランド」が全面リニューアルオープンし、多摩動物公園駅に「京王れーるランド」の副駅名を導入。
  • 20183月、多摩動物公園駅隣接地に子供向け遊戯施設「京王あそびの森 HUGHUG(ハグハグ)」が開業し、駅周辺一帯を「キッズパークたまどう」と命名。
  • 20213月13日、ダイヤ改正により京王線・都営新宿線への定期直通列車の設定が無くなり、車両は原則として7000系の4両編成に統一される。
  • 202212月11日、川崎街道を跨ぐ三沢架道橋の架け替え工事のため、動物園線が終日運休。

出典