歴史
この路線は国ではなく、地方の軽便鉄道の事業者である北勢鉄道によって建設された。同社は1912年8月10日に創立され、最初の区間である大山田駅(現在の西桑名駅)- 楚原間14.5キロメートルが1914年4月5日に蒸気運転の軽便鉄道として開業した。その後、路線は両端と内陸へと延伸され、1915年に桑名町 - 大山田間の短い区間が、1916年に楚原 - 阿下喜東間が開業し、最後に1931年7月8日に六石 - 阿下喜間の1.4キロメートルが開業して阿下喜までの全線が開通した。これと同時に全線が直流600ボルトで電化された。
1934年、事業者は近年の電化を反映して社名を北勢鉄道から北勢電気鉄道へと変更した。その10年後、戦時下の企業統合によって同社はより大きな地域企業に組み込まれることとなり、1944年2月11日、北勢電気鉄道ほか6社が合併して三重交通が発足した。三重交通のもとで、路線の架線電圧は1954年10月28日に600ボルトから750ボルトへと昇圧され、これが今日も使われている電圧である。
企業の変遷は1960年代にも続いた。1964年1月7日、三重交通は全額出資の子会社である三重電気鉄道を設立し、同年2月1日にその新会社へ鉄道事業を分離譲渡した。そして1965年4月1日、大手私鉄である近畿日本鉄道(近鉄)が三重電気鉄道を合併し、北勢線は近鉄の路線となった。以後およそ40年近くにわたり、同線は三重県内における近鉄の小規模なナローゲージ支線の一つとして運営された。
世紀の変わり目には、路線の将来は危ぶまれるものとなった。2000年7月3日、近鉄は経営改善策の一環として北勢線を廃止する意向を表明し、2002年3月28日には国土交通省に対して正式に事業廃止届を提出した。路線の廃止を回避するため、沿線の市町がその存続を支えるために乗り出し、別の事業者への譲渡が取りまとめられた。
譲渡は2003年4月1日に発効し、近鉄は北勢線の鉄道事業を、近隣で三岐線をすでに運営していた同じ会社である三岐鉄道へ譲渡した。この譲渡は沿線市町が10年間の財政支援を行うことを条件とし、その後3年ごとに更新されている。三岐鉄道のもとで路線は単に現状のまま保存されたのではなく、積極的に近代化された。2005年3月26日には新しい駅を中心に路線網が再編され、坂井橋駅が移転して星川駅として開業し、六把野駅と北大社駅が統合されて新たに東員駅が開業した。上笠田駅は2006年4月1日に廃止された。
さらなる近代化も続いた。2008年12月1日には蓮花寺駅が阿下喜方へ移設され、西別所・麻生田の両変電所が使用停止となって、全線が北大社変電所のみで給電できるようになった。今日の北勢線は、すべての駅に停車する「普通」列車をワンマン運転で運行しており、日中はおおむね1時間あたり2本、朝夕のピーク時には1時間あたり3本が走っている。2025年3月1日にはICOCAが導入され、相互利用可能な交通系ICカードが使用できるようになった。日本に残るわずかな762ミリメートルのナローゲージ旅客鉄道のうち最も長い路線として、北勢線は現役の地方鉄道であると同時に、鉄道愛好家から特に関心を寄せられる存在であり続けている。
年表
- 19128月10日:三重県北部に軽便鉄道を建設するため北勢鉄道が創立される。
- 19144月5日:最初の区間、大山田(現・西桑名)- 楚原間14.5kmが蒸気運転の軽便鉄道として開業する。
- 19168月6日:1915年の桑名町 - 大山田間開業に続き、楚原 - 阿下喜東間4.6kmが延伸開業する。
- 19317月8日:最後の六石 - 阿下喜間1.4kmが開業して全通し、同時に全線が直流600Vで電化される。
- 19346月27日:北勢鉄道が北勢電気鉄道に社名変更する。
- 19442月11日:北勢電気鉄道ほか6社が合併し三重交通が発足する。
- 195410月28日:架線電圧が600Vから750Vに昇圧される。
- 19641月7日:三重交通が全額出資の子会社・三重電気鉄道を設立。2月1日、三重交通が鉄道事業を三重電気鉄道に分離譲渡する。
- 19654月1日:近畿日本鉄道が三重電気鉄道を合併し、北勢線は近鉄の路線となる。
- 20007月3日:近鉄が経営改善のため北勢線の廃線を表明する。
- 20023月28日:近鉄が国土交通省に対して北勢線の事業廃止届を提出する。
- 20034月1日:近鉄が三岐鉄道に北勢線の鉄道事業を譲渡。沿線市町による10年間の支援を条件とし(その後3年毎に更新)、三岐鉄道による運営が始まる。
- 20053月26日:坂井橋駅が移転して星川駅が開業。六把野駅・北大社駅を統合し東員駅が開業する。
- 20064月1日:上笠田駅が廃止される。
- 200812月1日:蓮花寺駅を阿下喜方に移設。西別所・麻生田変電所を使用停止とし、北大社変電所のみの運用となる。
- 20253月1日:ICOCAを導入し、相互利用可能な交通系ICカードが使用できるようになる。
出典
事実確認日:2026年6月14日