歴史
この鉄道は、上野町の実業家・田中善助らが1912年10月に出願した伊賀軌道として始まった。最初の区間である上野駅連絡所 - 上野町駅間は1916年8月8日に開業した。翌1917年12月20日に会社は伊賀鉄道に社名を変更し、1919年10月には全線が軌道法による軌道から地方鉄道法による鉄道へと変更された。
路線は段階的に南へ延伸され、1922年7月18日に上野町駅 - 名張駅(後の西名張駅)間が開業して全通し、26キロメートルの路線が完成した。1926年5月25日には伊賀上野駅 - 名張駅間が電化され(英語資料によれば600ボルト直流)、同年末の12月19日に会社は伊賀電気鉄道に社名を変更した。
その後、路線は一連の企業合併を経て近鉄系列へと組み込まれていった。1929年3月31日に大阪電気軌道が伊賀電気鉄道を合併して伊賀線と名づけ、1929年4月1日からは参宮急行電鉄がこれを賃借して営業し、1931年9月30日に同社へ譲渡された。1930年には参宮急行電鉄本線(現在の近鉄大阪線)の開通に伴って伊賀神戸駅が開業し、伊賀線は現在の南側の接続駅を得た。さらに戦時下の統合を経て、1941年3月に参宮急行電鉄が大阪電気軌道と合併して関西急行鉄道となり、運営者は最終的に1944年6月1日に近畿日本鉄道(近鉄)となった。
近鉄のもとで路線は段階的に合理化された。1964年10月1日には伊賀神戸駅 - 西名張駅間9.7キロメートルが廃止され、ほぼ現在の姿となった。1973年10月1日に貨物営業が廃止され、1977年7月14日に単線自動化とATSの使用が始まり、1994年10月1日にはワンマン運転が開始された。今日この路線で知られる忍者のテーマもこの時代に始まり、1997年10月から近鉄は、伊賀が忍者の里であることにちなんで松本零士がデザインしたイラストを描いた「忍者列車」を運転した。
2000年代半ばには、赤字路線である同線は不透明な将来に直面していた。2005年12月に近鉄が経営形態の見直しを示唆し、上下分離方式による存続策が合意された。近鉄が線路や駅舎などの施設を保有して保線などの管理を行い、近鉄が98パーセント、伊賀市が2パーセントを出資する新会社・伊賀鉄道が列車を運行するというものである。新しい伊賀鉄道は2007年3月26日に設立され、2007年10月1日に経営が移管されて、近鉄は施設の第三種鉄道事業者として保有を続けた。新型車両も導入され、2009年12月24日からは東急1000系を改造した200系2両編成が運転を開始し、第1編成は松本零士デザインの忍者列車として装われた。2011年度までに5編成が出そろい、旧来の車両を置き換えた。
保有形態は2017年に再び変わった。2015年3月の近鉄・伊賀市・伊賀鉄道の合意を受けて、路線は2017年4月1日に公有民営方式へ移行した。近鉄が線路などの鉄道施設を、伊賀鉄道が車両を伊賀市に譲渡し、伊賀市が近鉄に代わって同線の第三種鉄道事業者となり、伊賀鉄道が引き続き列車を運行することとなった。近年では、長く休止していた四十九駅が2018年3月17日に旧駅から北へ約300メートルの地点で再開業し、「忍者線」の愛称が2019年2月22日に正式に制定された。2022年7月18日には上野市駅で全線開通百周年が祝われ、2024年3月9日からはICカード「ICOCA」をはじめとする全国相互利用の交通系ICカードが全線で利用できるようになった。
年表
- 191210月:上野町の実業家・田中善助らが伊賀軌道を出願。
- 19168月8日:伊賀軌道が上野駅連絡所 - 上野町駅間を開業。
- 191712月20日:伊賀軌道が伊賀鉄道に社名変更。
- 191910月1日:全線を軌道法による軌道から地方鉄道法による鉄道に変更。
- 19227月18日:上野町駅 - 名張駅(後の西名張駅)間が開業し全通(当初26km)。
- 19265月25日:伊賀上野駅 - 名張駅間が電化(英語資料では600V直流)。12月19日:伊賀電気鉄道に社名変更。
- 19293月31日:大阪電気軌道が伊賀電気鉄道を合併し伊賀線とする。4月1日:参宮急行電鉄が賃借して営業開始。
- 193010月10日:参宮急行電鉄本線(現・近鉄大阪線)開通に伴い伊賀神戸駅が開業。名張駅を西名張駅に改称。
- 19319月30日:大阪電気軌道が伊賀線を参宮急行電鉄に譲渡。
- 19446月1日:関西急行鉄道が近畿日本鉄道(近鉄)に社名変更。
- 196410月1日:伊賀神戸駅 - 西名張駅間 (9.7km) が廃止。
- 199710月:沿線が忍者の里であることにちなみ、近鉄が松本零士デザインのイラストを描いた「忍者列車」の運転を開始。
- 20073月26日:伊賀鉄道設立。10月1日:上下分離方式で伊賀鉄道に経営移行(近鉄が第三種鉄道事業者として施設を保有)。
- 200912月24日:東急1000系を改造した200系2両編成が営業運転を開始。第1編成は松本零士デザインの忍者列車として装われる。
- 20174月1日:2015年3月の合意を受け、公有民営方式へ移行。近鉄に代わり伊賀市が第三種鉄道事業者となり(線路・車両を譲受)、伊賀鉄道が運行を継続。
- 20243月9日:ICカード「ICOCA」および全国相互利用対象の交通系ICカードが全線で利用可能となる。
出典
事実確認日:2026年6月14日