歴史
この路線は、二つの異なる事業者によって二つの区間として建設された。豊野駅 - 十日町駅間は私鉄の飯山鉄道によって、十日町駅 - 越後川口駅間は国有鉄道の十日町線として開業したものである。飯山鉄道は1917年9月11日に地元の有志により設立されたが、予定された建設費は資本金を大きく上回っていた。信濃川に流入する中津川に水力発電所を計画していた信越電力(のちに東京電燈に合併)が、その建設資材の輸送手段として飯山鉄道を利用するために多額の出資を行い、株式の大半を保有することとなったことでこの計画は救われ、北への延伸資金を賄うため資本金が増資された。
建設は段階的に進められた。飯山鉄道は1921年7月20日に最初の区間である豊野 - 飯山間を開業し、その後、発電所の資材を運ぶために新潟県境へと下流へ延伸していった。飯山 - 桑名川間が1923年7月6日に、桑名川 - 西大滝間が1923年12月1日に、西大滝 - 森宮野原間が1925年11月19日に、さらに1927年中に越後田沢まで開通した。一方、国有鉄道の十日町線は1927年6月15日に越後川口 - 越後岩沢間を、続いて同年11月15日に十日町まで開業した。両者は1929年9月1日に、飯山鉄道が越後田沢 - 十日町間を完成させて結ばれ、現在の飯山線が通る全線が完成した。
第二次世界大戦中、この私鉄は国の手に移された。1944年6月1日に飯山鉄道が戦時買収により国有化されて十日町線と統合され、豊野 - 越後川口間(当時83.8キロメートル)が飯山線と改称された。その過程でいくつかの駅が改称・変更され、飯山鉄道に残されていたバス・ハイヤー事業も譲渡されて、同社は1945年に解散した。1955年11月10日からはこの路線に気動車が導入され、蒸気機関車による牽引が徐々に置き換えられていった。
1987年4月1日の国鉄分割民営化に伴い、飯山線はJR東日本に承継され、同時に全線で貨物営業が廃止された。その前日には戸狩駅が戸狩野沢温泉駅に改称されている。JR東日本のもとで路線は近代化が進み、1993年12月にタブレット閉塞から特殊自動閉塞へ移行し、1995年3月には列車集中制御装置(CTC)と自動進路制御装置(PRC)が導入された。1997年10月1日にはワンマン運転が始まり、その時点で同線の列車はすべてキハ110系に置き換えられ、従来車に比べ全区間で約10分のスピードアップが実現した。
ほぼ全線が狭い川沿いの谷間と豪雪地帯を通るため、この路線は自然災害によってたびたび運休してきた。1995年7月の「7.11水害」では橋梁が冠水し土砂崩れが発生して全線が運休となり、一週間のうちに段階的に復旧した。2011年3月12日には長野県北部地震により横倉 - 森宮野原間で土砂崩れが起きて路盤が消失し、戸狩野沢温泉 - 越後川口間が不通となったが、4月29日に全線で運転を再開した。2019年10月の令和元年東日本台風(台風19号)でも全線が運休し、替佐 - 蓮間で土砂が流入し北飯山 - 信濃平間で路盤が流出したが、10月26日までに区間ごとに運転を再開した。ディーゼル機関車の導入以前、除雪は機関車・マックレー車・ロータリー車から成る特殊な「キマロキ編成」によって行われており、現在もこの路線は雪崩防止柵・スノーシェッド・踏切の融雪装置に頼っている。森宮野原駅には、1945年2月に記録された積雪7メートル85センチを示す標柱が建っている。
飯山線はかつて廃止候補リストに挙げられたこともある赤字ローカル線であったが、ピーク時の一定方向の輸送量が1時間あたり1,000人を超えること、冬季の代替道路が未整備であること、地元住民にとって重要であることから廃線を免れた。北陸新幹線の開業はその北側の経路を作り変えた。飯山駅は2014年11月9日に約300メートル移転して新しい新幹線駅と併設となり、2015年3月14日に新幹線が延伸されると、並行する信越本線の長野 - 豊野間がしなの鉄道北しなの線へ移管された。これにより豊野駅のJR駅としての所属は飯山線となり、現在に至るまで飯山線の全列車は豊野から先、北しなの線を経由して長野まで直通運転しており、朝の一部列車は越後川口から先、上越線を経由して長岡まで1日2往復直通している。
年表
- 19179月11日:私鉄の飯山鉄道が地元の有志により設立される。
- 19217月20日:飯山鉄道が最初の区間である豊野駅 - 飯山駅間を開業。
- 19237月6日:飯山駅 - 桑名川駅間が延伸開業。12月1日:桑名川駅 - 西大滝駅間が延伸開業。
- 192511月19日:飯山鉄道が西大滝駅 - 森宮野原駅間を延伸開業。
- 19276月15日:国有鉄道の十日町線が越後川口駅 - 越後岩沢駅間を開業。8月1日・11月6日:飯山鉄道が森宮野原駅から越後田沢駅へ延伸。11月15日:十日町線が十日町駅まで延伸。
- 19299月1日:飯山鉄道が越後田沢駅 - 十日町駅間を延伸開業し、十日町線と合わせて現在の飯山線の区間が全通。
- 19446月1日:飯山鉄道が戦時買収により国有化され、十日町線を編入して豊野駅 - 越後川口駅間(83.8km)が飯山線と改称される。
- 19452月:森宮野原駅で積雪7メートル85センチの最高記録を観測し、駅構内に標柱が建てられる。
- 195511月10日:長野駅 - 戸狩駅間に気動車列車の運転が始まり、蒸気機関車牽引の置き換えが始まる。
- 19873月1日:戸狩駅が戸狩野沢温泉駅に改称。4月1日:国鉄分割民営化に伴い東日本旅客鉄道(JR東日本)が承継し、全線で貨物営業を廃止。
- 19953月15日:全線に列車集中制御装置(CTC)と自動進路制御装置(PRC)を導入。7月12日:7.11水害により信濃浅野駅付近の鉄橋が冠水し土砂崩れも発生して全線が運休、7月18日までに段階的に復旧。
- 199710月1日:ワンマン運転を開始し、全列車をキハ110系に置き換え。全区間で約10分のスピードアップを実現。
- 20113月12日:長野県北部地震により横倉駅 - 森宮野原駅間で土砂崩れが発生し路盤が消失、戸狩野沢温泉 - 越後川口間が不通となる。4月29日に全線で運転再開。
- 201411月9日:飯山駅が約300m移転し、北陸新幹線の駅と併設となる。
- 20153月14日:北陸新幹線延伸開業に伴い、信越本線の長野駅 - 豊野駅間がしなの鉄道北しなの線となり、豊野駅のJR線としての所属が飯山線となる(直通運転は継続)。
- 201910月12日:令和元年東日本台風(台風19号)により全線運休。替佐駅 - 蓮駅間で土砂流入、北飯山駅 - 信濃平駅間で路盤流出が発生し、10月26日までに区間ごとに運転を再開。
出典
事実確認日:2026年6月14日