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香椎線

Kashii Line

香椎線(かしいせん)は、福岡県を走る営業キロ25.4キロメートルの鉄道路線で、九州旅客鉄道(JR九州)が運営している。福岡市の東側に広がる糟屋地域を横断し、海の中道の砂州上にある西戸崎駅から、香椎の分岐点を経て、宇美町の宇美駅までを結ぶ。軌間は1,067ミリメートルの狭軌で全線単線、しかも本格的な電化が一度も行われたことのない珍しい幹線級の路線でありながら、2019年以降は蓄電池駆動の電車BEC819系「DENCHA」によって全列車が運行されており、これらの車両は香椎駅構内のみに設けられた架線から充電を行う。路線記号はJD、ラインカラーは青で、JR九州が自動列車運転を先駆けて試みた路線の一つでもある。

福岡東区須恵町博多区中央区志免町5 km
香椎線の路線図 · 境界: 国土数値情報(国交省)・GSI

歴史

この鉄道は旅客路線としてではなく、炭鉱輸送の路線として始まった。建設したのは博多湾鉄道で、1904年1月1日に西戸崎 - 須恵間を開業し、西戸崎・奈多・香椎・土井・長者原・須恵などの各駅を設けた。その目的は、糟屋炭田の石炭、とりわけ海軍の新原炭鉱の石炭を、西戸崎の港へと運び出すことにあった。1904年6月には須恵から新原まで仮線が延ばされ、それまで道路で雑餉隈(現在の南福岡)まで荷車輸送されていた石炭を、鉄道で直接運べるようになった。

路線はその後、段階的に完成していった。須恵 - 新原間は1905年6月1日に正式に開業し、海軍新原炭鉱からの軍艦用石炭の本格的な積み出しが始まった。1905年12月29日には新原 - 宇美間の最後の延伸区間が開業して全通し、宇美駅が設けられた。貨物支線も続いて開かれ、1909年には酒殿 - 志免間の貨物支線が開業し、1915年には志免 - 旅石間(後の旅石支線)へと延伸されて、地域の炭鉱に奉仕した。

1920年3月25日、会社は海運業を始めたことに伴い、社名を博多湾鉄道から博多湾鉄道汽船へと改めた。やがて戦時下の交通事業の統合が、会社の独立に終止符を打った。地方事業者を合併していく方針のもと、博多湾鉄道汽船は1942年9月19日に西日本鉄道(西鉄)へ吸収され、路線は同社の糟屋線および旅石貨物支線となった。

路線は第二次世界大戦中に国の手に渡った。1944年5月1日、買収・国有化により、西日本鉄道糟屋線は国有鉄道の香椎線となり、あわせて香椎線貨物支線(旅石支線)も国有鉄道に編入され、同時に奈多駅が雁ノ巣駅と改称された。かつては路線の存在意義そのものであった貨物は、糟屋の炭鉱が閉山していくなかで、その後数十年かけて縮小されていった。旅石支線は1960年に廃止され、酒殿 - 宇美間の貨物営業は1981年に廃止、残る貨物営業と支線も1985年までに廃止された。

国鉄の分割民営化により、香椎線は1987年4月1日に九州旅客鉄道(JR九州)へ承継された。JR九州は運営の近代化を着実に進めた。1988年には全線でワンマン運転が始まり、1989年には海の中道の砂州を渡る景勝区間である西戸崎 - 香椎間に「海の中道線」の愛称が付けられた。2015年からは中間駅の多くが無人の「Smart Support Station」へと転換され、2017年には列車集中制御装置(CTC)と自動進路制御装置(PRC)が全線で使用開始された。2018年には青いラインカラーとJDの駅ナンバリングが制定された。

この路線の現代の象徴は、その車両である。2019年3月16日、蓄電池駆動電車BEC819系「DENCHA」が香椎線で運行を開始し、連続した架線のない路線でありながら電車による運行が可能となった。車両は香椎駅の電化構内から充電する。非電化で完結したこの路線は、その後、自動運転の試験の舞台となった。2019年から2020年の冬にかけて西戸崎 - 香椎間でBEC819系による自動列車運転の走行試験が実施され、2020年12月には営業列車での実証運転が始まり、2023年3月16日からは一部の列車で、正規の運転士ではなく係員が乗務する形での自動運転が始まった。これは日本の在来線における高度な自動化の早い事例である。

年表

  • 19041月1日:博多湾鉄道が最初の区間である西戸崎 - 須恵間を開業し、糟屋炭田の石炭を西戸崎の港へ運び出す。
  • 19056月1日:須恵 - 新原間が正式に延伸開業し、海軍新原炭鉱からの軍艦用石炭の本格的な積み出しが始まる。
  • 190512月29日:新原 - 宇美間が延伸開業して全通し、宇美駅を新設。
  • 19098月1日:酒殿 - 志免間の貨物支線(後の旅石支線)が開業し、地域の炭鉱に奉仕する。
  • 19203月25日:海運業開始に伴い、博多湾鉄道から博多湾鉄道汽船に社名変更。
  • 19429月19日:博多湾鉄道汽船が合併により西日本鉄道となり、同社の糟屋線および旅石支線となる。
  • 19445月1日:買収・国有化により、西日本鉄道糟屋線が国有鉄道の香椎線(および旅石支線)となる。奈多を雁ノ巣に改称。
  • 19851月1日:糟屋の炭鉱閉山に伴う貨物縮小の最終段階として、酒殿 - 志免間の貨物支線(旅石支線。1960年廃止の旅石支線の残部)および香椎 - 酒殿間の貨物営業を廃止し、当線の貨物輸送が終わる(酒殿 - 宇美間は1981年に廃止済み)。
  • 19874月1日:国鉄分割民営化により、九州旅客鉄道(JR九州)が承継。
  • 19883月13日:全線でワンマン運転を開始。
  • 19893月15日:西戸崎 - 香椎間の路線愛称を「海の中道線」とすることが発表される。
  • 20153月14日:長者原・香椎を除く12駅を無人の「Smart Support Station」化。
  • 20171月29日:全線で列車集中制御装置(CTC)と自動進路制御装置(PRC)が供用開始。
  • 20193月16日:蓄電池駆動電車BEC819系「DENCHA」が運行開始。連続した架線のない路線で電車運行を実現し、香椎駅構内で充電する。(2018年9月28日にはラインカラー(青)・駅ナンバリング(JD)が制定されていた。)
  • 202012月24日:営業列車で自動列車運転装置の実証運転を開始(2019年12月~2020年2月のBEC819系走行試験に続くもの)。
  • 20233月16日:自動運転乗務員乗務による自動運転を一部の列車で開始。

出典