歴史
この路線は福井県下初の電気鉄道として始まった。建設したのは、福井県で水力発電も手がけていた電力会社の京都電燈で、1914年(大正3年)2月11日に越前電気鉄道として新福井駅 - 市荒川駅(現在の越前竹原駅)間が開業した。建設は急ピッチで進み、同年3月11日に市荒川駅 - 勝山駅間が、4月10日に勝山駅 - 大野口駅間が開業して、その年のうちに福井と大野が結ばれた。
鉄道はその後、段階的に福井市街地へと南へ延伸され、1929年(昭和4年)に福井駅まで達し、以後数十年をかけて谷沿いに小駅が連なる路線へと成長した。戦時下の電力事業統合(配電統制令)により、京都電燈の鉄軌道事業は1942年(昭和17年)3月2日に京福電気鉄道へ継承され、路線は同社福井支社の越前本線となって、以後60年あまりこの名称を名乗ることになる。
1960年代以降に自家用車が普及すると、京福電気鉄道は不採算区間の合理化を進めた。路線の最奥部にあたり、国鉄越美北線と並行して競合していた勝山駅 - 京福大野駅間は1974年(昭和49年)8月13日に廃止され、路線は勝山までに縮められた。同社は残る区間を維持してきたが、1992年(平成4年)には東古市駅(現在の永平寺口駅)以遠と、これに接続する永平寺線の廃止を表明し、県や地元自治体が行政支援に乗り出して運行を支えた。
そして路線の将来は、2件の惨事によって危機に陥る。2000年(平成12年)12月17日、永平寺線から入ってきた電車がブレーキを失い、東古市付近の越前本線で別の電車と衝突して運転士が死亡し、乗客が負傷した。それからわずか半年後の2001年(平成13年)6月24日、保田駅 - 発坂駅間で電車同士が正面衝突し、京福電気鉄道は全線の運行を休止した。接続していた永平寺線は再開されることなく、2002年(平成14年)10月21日に正式に廃止された。
鉄道そのものを失うのを避けるため、福井県と沿線市町は新たな第三セクター事業者であるえちぜん鉄道を支援し、同社は2003年(平成15年)2月1日に京福電気鉄道から路線を引き継いで、越前本線から勝山永平寺線へと改称した。運行は同年中に二段階で再開され、7月20日に福井駅 - 永平寺口駅間が、10月19日に永平寺口駅 - 勝山駅間が再開して、全線の直通運転が復活した。休止中に落ち込んでいた輸送人員は、列車の復活とともに着実に回復していった。
再開後、この路線は福井への北陸新幹線の到来によって姿を変えていった。新幹線の高架橋と自社の高架線の用地を確保するため、新福井駅 - 福井口駅間は2006年(平成18年)に単線化され、福井付近に残っていた複線区間も順次縮小されて、2018年(平成30年)までに全線が単線へと戻った。今日の勝山永平寺線は、日中はおおむね毎時2本が走る地域の通勤・観光路線であり、日中の列車にはアテンダントが乗務し、2017年(平成29年)には駅ナンバリングが導入され、勝山の博物館へ向かう季節運行の観光列車「恐竜列車」も走っている。
年表
- 19142月11日:京都電燈が最初の区間、新福井駅 - 市荒川駅(現在の越前竹原駅)間を越前電気鉄道として開業。福井県下初の電気鉄道であった。
- 19143月11日:市荒川駅 - 勝山駅間が開業。4月10日:勝山駅 - 大野口駅間が開業し、その年のうちに福井と大野が結ばれる。
- 19189月1日:大野口駅 - 大野三番駅(後の京福大野駅)間が開業し、谷沿いの路線が全通する。
- 19299月21日:福井駅 - 新福井駅間が開業し、路線が福井市街地まで延伸される。
- 19423月2日:配電統制令により、京都電燈の鉄軌道事業を京福電気鉄道が継承。路線は京福の越前本線となる。
- 19486月28日:福井地震のため全線が不通となり、8月に全線復旧する。
- 19748月13日:国鉄越美北線と競合していた勝山駅 - 京福大野駅間が廃止され、路線は勝山までに縮小される。
- 1992京福電気鉄道が、東古市駅(現在の永平寺口駅)以遠と接続する永平寺線の廃止を表明。県などが行政支援を講じて運行を支える。
- 200012月17日:永平寺線から入ってきた電車がブレーキの不具合で停止できず、東古市付近の越前本線で別の電車と正面衝突。運転士が死亡し、乗客が負傷する。
- 20016月24日:保田駅 - 発坂駅間で電車同士が正面衝突し、京福電気鉄道は全線の運行を休止する。
- 200210月21日:2001年の事故以来運休していた接続の永平寺線が正式に廃止され、再開されることはなかった。
- 20032月1日:えちぜん鉄道が京福電気鉄道から路線を引き継ぎ、越前本線から勝山永平寺線へと改称する(1月17日に国土交通省が事業譲渡譲受を認可)。
- 20037月20日:福井駅 - 永平寺口駅間が運行再開。10月19日:永平寺口駅 - 勝山駅間が運行再開し、全線の直通運転が復活する。
- 20064月9日:北陸新幹線の整備に伴い、新福井駅 - 福井口駅間が単線化される。
- 20173月25日:全駅で駅ナンバリングが実施される。
- 20186月24日:福井駅 - 福井口駅間がえちぜん鉄道の高架橋へ切り替えられ、福井駅 - 新福井駅間も単線化されて全線が単線となる。
出典
事実確認日:2026年6月14日