歴史
その名(「競馬場の線」)が示すとおり、この路線は東京競馬場への旅客輸送を目的として存在している。東府中駅付近を除くと路線の大半は府中市八幡町内にあり、途中で武蔵国府八幡宮の参道を横切っている。そこに見える鳥居は京王が寄進したものである。当路線の運行は特徴的で、平日・土休日、さらに東京競馬の開催日とで、ダイヤ・使用車両・乗務体系が大きく異なっている。
路線は1955年4月29日に開業し、東府中 - 府中競馬正門前間の0.9キロメートルが運行を開始した。開業当時は、当時の京王の路線で用いられていた直流600ボルトという低い電圧で電化されていた。1963年8月4日には架線電圧が直流1,500ボルトに昇圧され、より高い規格へと引き上げられた。その昇圧の前日にあたる1963年8月3日には、両運転台のまま残存していたデハ2400形が当線で最後の単行運用を行った。
競馬場が生み出す需要には波があるため、当路線は古くから需要に応じた柔軟な運行に頼ってきた。通常は東府中駅 - 府中競馬正門前駅間を往復する列車が運行され、平日朝ラッシュ時には1時間あたりおよそ4 - 6本、日中・夜間は1時間あたり3本が走る。終電は非常に早く、最終列車は夜の21時台から22時台に発車しており、これは京王の路線の中で最も早い。
1999年7月28日には、平日の線内折り返し列車でワンマン運転が導入された。これは車内で運賃収受を行わない都市型のワンマン運転である。以後の運行には、ワンマン化改造を施した2両編成の短い車両が用いられているが、始発と終電の数本、および代走車を使う場合には車掌も乗務する。2011年10月2日には、京王ATC(自動列車制御装置)の使用が開始された。
東京競馬が開催される日 - おおむね1月下旬から2月中旬、4月中旬から6月、10月から11月の土日および一部の祝日 - には、運行が大幅に増強され、朝から夕方遅くまで1時間あたり6本、およそ8 - 12分間隔へと増発される。開催日には京王線を経由して新宿へ直通する臨時の特急・急行が運転され、本線の特急が東府中駅に臨時停車して当線と接続を取る。
こうした開催日の運行形態に合わせて、2010年代から2020年代にかけて新たな直通列車が設定された。2018年4月21日からは臨時の準特急が上り方向のみで運転されたが、準特急が特急に統合されたことに伴い2022年2月20日をもって運行を終了した。2022年4月23日からは、やはり上り方向のみの臨時特急の運転が始まった。新宿への臨時直通列車は、それ以前に新型コロナウイルス感染症の流行で競馬が無観客開催となった際に運休しており、2022年4月に再開されている。
開催日以外には、終点の府中競馬正門前駅の利用客は比較的少なく、また開催日の混雑に対応するためホームが非常に広い。この双方の理由から、同駅と当路線はロケーション撮影によく利用されており - 府中市・京王ともにロケーションサービスを行っている - テレビコマーシャルや音楽のプロモーションビデオ、映画、テレビドラマなどが、車内のシーンも含めてしばしば撮影されている。なお、かつて競馬場への鉄道アクセスは、日本国有鉄道の中央本線の支線である下河原線が担っていた。
年表
- 19554月29日:東府中 - 府中競馬正門前間 (0.9 km) が開業(直流600Vで電化)。
- 19638月3日:両運転台のまま残存していたデハ2400形が、昇圧前日に当線で最後の単行運用を行う。
- 19638月4日:架線電圧を直流1,500Vに昇圧。
- 19997月28日:平日の線内折り返し列車でワンマン運転を開始。
- 20111月31日:1999年のワンマン運行開始以来使用された6000系のワンマン改造車が廃車となり、7000系に置き換えられる。
- 201110月2日:京王ATC(自動列車制御装置)の使用を開始。
- 20132月22日:駅ナンバリング(駅番号)を順次導入(KO23 東府中、KO46 府中競馬正門前)。
- 20184月21日:東京競馬開催時に、臨時準特急(上りのみ)の運転を開始。
- 20222月20日:準特急の特急への統合に伴い、臨時準特急の運行を終了。
- 20224月23日:臨時特急(上りのみ)の運転を開始。新型コロナウイルス感染症による入場制限の後、開催日の臨時列車が再開される。
出典
事実確認日:2026年6月14日