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貴志川線

Kishigawa Line

貴志川線(きしがわせん)は、和歌山電鐵が運営する営業距離14.3キロメートルの鉄道路線で、和歌山県の和歌山市にある和歌山駅を起点に、隣接する紀の川市の貴志駅へと至る。単線で、軌間1,067ミリメートルの狭軌、架線電圧直流1,500ボルトで電化されており、14の駅を有する。その規模に似合わず全国に名を知られているのは、貴志駅の駅長を務めた三毛猫の「たま」と、いちご電車・おもちゃ電車(おもでん)・たま電車といった遊び心あふれる装飾列車のおかげであり、これらは一時は廃止が取り沙汰された路線を観光資源へと変える一助となった。

2 km
貴志川線の路線図 · 境界: 国土数値情報(国交省)・GSI

歴史

この路線は大正期の私設軽便鉄道として始まった。山東軽便鉄道は1913年4月1日に免許を受け、1914年6月27日に設立された。最初の区間である大橋 - 大和(のちの伊太祈曽)間が1916年2月15日に開業し、1917年3月16日には中ノ島 - 大橋間が延伸された。紀勢線の開業を受けて、路線は1924年に新しい東和歌山駅(現在の和歌山駅)へと経路が変更され、会社は1931年に和歌山鉄道と改称された。

路線は段階的に全通した。1933年8月18日に伊太祈曽 - 貴志間が開業し、このとき大和駅が伊太祈曽駅と改称されて、貴志村まで達する全線がそろった。電化は戦時下に進められ、東和歌山 - 伊太祈曽間が1941年12月、伊太祈曽 - 大池間が1942年12月、大池 - 貴志間が1943年12月にそれぞれ電化されて全線の電化が完成した。当時の電圧は直流600ボルトであった。

その後、路線は一連の企業合併を経ていった。1957年11月1日に和歌山鉄道は和歌山電気軌道に合併され、1961年11月1日には和歌山電気軌道がさらに南海電気鉄道に合併されて、このとき路線は貴志川線と命名された。南海のもとで路線は近代化され、1993年4月1日にCTC(列車集中制御装置)が導入され、1995年2月には2270系電車が運用を開始し、同年4月1日にはワンマン運転が始まるとともに増発と冷房化が行われた。

やがてモータリゼーションのなかでの利用客減少により、路線の存続が危ぶまれるようになった。2003年11月、南海は貴志川線の廃止を検討していることを表明し、2004年には同線からの撤退を発表して国土交通省に廃止届を提出した。路線を廃止させるのではなく、和歌山県・和歌山市・貴志川町は2005年2月に公有民営方式で路線を存続させることで合意し、運営事業者を公募した。両備グループの岡山電気軌道が事業引き継ぎを発表し、路線を運営する第三セクターの後継会社として2005年6月27日に和歌山電鐵が設立された。

和歌山電鐵は2006年4月1日に運行を引き継ぎ、ただちに工業デザイナー水戸岡鋭治による個性的でデザイン性の高い列車を打ち出す戦略へと舵を切った。いちごをモチーフとした「いちご電車」は2006年8月6日に運行を開始し、おもちゃをテーマとした「おもでん(おもちゃ電車)」が2007年7月29日に続き、猫をテーマとした「たま電車」は2009年3月21日に運用を開始した。2006年10月には日本鉄道賞で特別表彰を受けた。

しかし、最大の名声をもたらしたのは一匹の猫であった。2007年1月5日、三毛猫の「たま」が小さな駅長帽をかぶって貴志駅の駅長に就任し、国内外のメディアの話題をさらって路線に観光客を呼び込んだ。2015年6月22日にたまが死ぬと、永久名誉駅長として顕彰され、追悼式とたま神社が設けられ、猫の「ニタマ」が「たまII世」駅長を襲名した。新しい貴志駅の駅舎は2010年8月4日に開業していた。2012年2月1日には路線の架線電圧が直流600ボルトから直流1,500ボルトへと昇圧され、路線は今日、地域に守られた地方鉄道の名高い実例として運行を続けている。

年表

  • 19134月1日:山東軽便鉄道が鉄道免許を取得。
  • 19162月15日:最初の区間である大橋 - 大和(のちの伊太祈曽)間が山東軽便鉄道により開業。
  • 19173月16日:中ノ島 - 大橋間が延伸開業。
  • 1924紀勢線の開業に伴い、新しい東和歌山駅(現在の和歌山駅)へと経路が変更される。
  • 19314月23日:会社が和歌山鉄道と改称される。
  • 19338月18日:伊太祈曽 - 貴志間が開業して貴志まで全通。大和駅が伊太祈曽駅と改称される。
  • 194312月:大池 - 貴志間が電化され、全線の電化が直流600Vで完成(東和歌山 - 伊太祈曽間1941年、伊太祈曽 - 大池間1942年)。
  • 195711月1日:和歌山鉄道が和歌山電気軌道に合併される。
  • 196111月1日:南海電気鉄道が和歌山電気軌道を合併し、路線は貴志川線となる。
  • 19934月1日:CTC(列車集中制御装置)が導入される。
  • 19952270系電車が運用開始(2月)。4月1日にワンマン運転を開始し、増発・冷房化が行われる。
  • 2004南海電気鉄道が同線からの撤退(2005年9月末をもって)を発表し、国土交通省に廃止届を提出。2003年11月に廃止検討を表明していた。
  • 2005和歌山県・和歌山市・貴志川町が公有民営方式での存続に合意。両備グループの岡山電気軌道が選定され、6月27日に第三セクターの和歌山電鐵が設立される。
  • 20064月1日:和歌山電鐵が貴志川線の運行を開始。8月6日:水戸岡鋭治がデザインした「いちご電車」が運行を開始。10月:日本鉄道賞で特別表彰を受ける。
  • 20071月5日:三毛猫の「たま」が貴志駅の駅長に就任。7月29日:おもちゃをテーマとした「おもでん(おもちゃ電車)」が運行を開始。
  • 20093月21日:猫をテーマとした「たま電車」が運行を開始。
  • 20108月4日:新しい貴志駅の駅舎が開業。
  • 20122月1日:架線電圧が直流600Vから直流1,500Vへ昇圧される。
  • 20156月22日:たまが死に、永久名誉駅長として顕彰される。追悼式とたま神社が設けられ、猫の「ニタマ」が「たまII世」駅長を襲名する。

出典