歴史
この路線は、二つの別個の官設軽便線として両端から建設された。先に開業したのは西側で、1920年10月10日、西横黒軽便線が横手駅 - 相野々駅間の7.7キロメートルを開業した。翌1921年11月27日には相野々駅 - 黒沢駅間がさらに9.1キロメートル延伸された。一方の東側は1921年3月25日、東横黒軽便線として黒沢尻駅(現在の北上駅) - 横川目駅間の14.3キロメートルが開業し、1921年11月18日には横川目駅 - 和賀仙人駅間がさらに7.3キロメートル延伸された。
1922年には両線とも軽便線から通常の路線へと格上げされ、9月2日に改称されて、東側は東横黒線、西側は西横黒線となった。建設は両方向から山中へと続けられ、西横黒線は1922年12月16日に黒沢駅から陸中川尻駅まで(9.1キロメートル)に達し、東横黒線は1924年10月25日に和賀仙人駅から大荒沢駅まで(3.7キロメートル)延伸された。
二つの区間は1924年11月15日に結ばれた。残る大荒沢駅 - 陸中川尻駅間の9.1キロメートルが開業して黒沢尻駅 - 横手駅間が全通し、西横黒線が東横黒線に編入されて、統一された路線は横黒線と改称された。これは横手と黒沢尻(現在の北上)の頭文字を合わせた名称である。1954年11月10日には東側の終点である黒沢尻駅自体が、周辺の市の名をとって北上駅と改称された。この時期の同線は蒸気機関車による地方鉄道であったが、1961年6月28日には鷲之巣の鉄橋建設現場で橋桁が落下する事故が起き、作業員10人が死亡、2人が重傷を負った。
湯田ダムの建設は同線の中間部を作り替えた。1962年3月には一部の列車が気動車化され、1962年12月1日にはダム建設に伴い岩沢駅 - 陸中川尻駅間の線路が付け替えられて、同区間が0.8キロメートル延び、和賀仙人駅と陸中大石駅が移転し、大荒沢駅が廃止されて新たに信号場が設けられた。1963年にはいくつかの中間駅が新設され、1966年10月20日に路線は現在の名称である北上線へと改称された。蒸気機関車の運転は1967年3月19日のD60形による運行を最後に廃止された。
1987年4月1日の国鉄分割民営化により全線がJR東日本に承継され、同日付で同線の貨物営業も廃止された。同年10月からは日本貨物鉄道(JR貨物)が第二種鉄道事業者として運行を引き継ぎ、季節列車として貨物列車1往復を再開した。これは1989年に通年運転となり、1990年3月10日には定期列車化され、その3日後にはキハ100系気動車が導入された。ワンマン運転は1991年3月16日に始まり、同年6月20日には沿線の景観や温泉をアピールするため三駅が改称され、陸中大石駅がゆだ錦秋湖駅に、陸中川尻駅がほっとゆだ駅に、岩手湯田駅がゆだ高原駅となった。1994年10月1日には全線が特殊自動閉塞式・列車集中制御装置(CTC)化された。
近年の同線は、有用な迂回路として、また苦境にある地方路線としての二つの顔を持つ。秋田新幹線開業に先立つ田沢湖線の改軌工事による運休に際しては、1996年3月30日から1997年3月まで特急が北上線経由で「秋田リレー」として迂回運転された。JR貨物は2010年3月14日に貨物列車の運行を休止し、2013年3月16日には全列車がワンマン運転となった。最も利用の少なかった平石駅と矢美津駅は2022年3月12日に廃止された。2023年には7月20日の大雨でゆだ高原駅付近の法面が崩れ、ほっとゆだ駅 - 横手駅間が8月7日の運転再開まで運休となり、同年11月には路線の存続を懸念する事業者と沿線自治体が、利用を促すための運賃無料キャンペーンを実施した。
年表
- 192010月10日:西横黒軽便線 横手駅 - 相野々駅間(7.7 km)が開業。
- 19213月25日:東横黒軽便線 黒沢尻駅(現・北上駅) - 横川目駅間(14.3 km)が開業。11月18日に和賀仙人駅まで(+7.3 km)、11月27日には西側が相野々駅 - 黒沢駅間(+9.1 km)延伸。
- 19229月2日:両線が軽便線から通常線に格上げされ、東横黒線・西横黒線に改称。12月16日に西側が黒沢駅 - 陸中川尻駅間(+9.1 km)延伸。
- 192410月25日:東側が和賀仙人駅 - 大荒沢駅間(+3.7 km)延伸。11月15日:大荒沢駅 - 陸中川尻駅間(9.1 km)が開業して黒沢尻駅 - 横手駅間が全通し、横黒線に統一・改称。
- 195411月10日:黒沢尻駅が北上駅に改称。
- 19616月28日:鷲之巣の鉄橋建設現場で橋桁が落下する事故が発生、作業員10人が死亡・2人が重傷。
- 196212月1日:湯田ダム建設により岩沢駅 - 陸中川尻駅間が付け替えられ、同区間が +0.8 km、和賀仙人駅・陸中大石駅が移転、大荒沢駅を廃止し信号場を新設。(3月に一部列車が気動車化)
- 196610月20日:路線名が北上線に改称される。
- 19673月19日:D60形を最後に蒸気機関車運転が廃止される。
- 19874月1日:国鉄分割民営化により全線をJR東日本が承継し、貨物営業を廃止。10月にJR貨物が第二種鉄道事業を開始し季節貨物列車を再開。
- 19903月10日:貨物列車を定期列車化。3月13日にキハ100系気動車を導入。1991年3月16日にワンマン運転を開始し、同年6月20日に陸中大石駅がゆだ錦秋湖駅、陸中川尻駅がほっとゆだ駅、岩手湯田駅がゆだ高原駅に改称される。
- 199410月1日:全線が特殊自動閉塞式・CTC化される。
- 19963月30日:秋田新幹線開業に伴う田沢湖線改軌工事による運休のため、特急「秋田リレー」が北上線経由で迂回運転(1997年3月まで)。
- 20103月14日:貨物列車の運行を休止。
- 20223月12日:平石駅・矢美津駅が廃止される。
- 20237月20日:大雨でゆだ高原駅付近の法面が崩落し、ほっとゆだ駅 - 横手駅間が運休(8月7日に運転再開)。11月には存続に向けた運賃無料キャンペーンを実施。
出典
事実確認日:2026年6月14日