歴史
この路線の起源は大規模な計画都市にある。1969年(昭和44年)から、兵庫県と神戸市は、神戸市北区と三田市にまたがる北神・北摂ニュータウン(現在の神戸三田国際公園都市)の開発を進めた。そのうち三田市域の北摂三田ニュータウンでは、当初、計画戸数35,000戸・計画人口128,000人(のちに88,000人に修正)の開発が予定されていた。この開発区域には公共交通機関によるアクセスルートがなかったため、開発主の日本住宅公団は、国鉄福知山線をニュータウン内に移設することでこの課題を解消する構想を立てた。
しかしこの構想は、地元の激しい反発を招いた。1970年(昭和45年)の基本計画と1971年(昭和46年)の基本設計報告書はいずれも国鉄線をニュータウン内へ移設するものとしており、1971年の報告書は5つのルート案を提示していたが、三田市民は移設によって既成の市街地が衰退することを懸念した。1971年11月には三田市民会館で反対決起大会が開かれ、反対の要望書が相次ぎ、1973年(昭和48年)2月にこの問題が新聞で報道されると運動は市内全域に広がり、三田市長自らが県知事へ陳情書を提出する事態となった。
この膠着状態は、運営者の交代によって打開された。1977年(昭和52年)1月14日、兵庫県当局は国鉄に対し、ニュータウンに国鉄を通さないことを通告し、1978年(昭和53年)11月16日には、代わりに神戸電鉄の都市高速鉄道新線がこの地区に乗り入れる方針が決定された。計画委員会は当初、三田線の二郎駅から分岐する全長12キロメートルの路線も検討したが、北神戸ニュータウンの計画になお不確定要素が多かったことから、横山駅から分岐する全長5.5キロメートルの路線に決定した。1982年(昭和57年)には三田市の要望を受け、三田線の三田駅 - 横山駅間を複線化し、新線の列車を三田駅まで直通運転させる計画がまとまった。
神戸電鉄は1987年(昭和62年)、「北摂線」という名称で鉄道事業免許を申請し、同年5月28日に5.5キロメートルの路線の認可を得た。これは、JRグループの発足とともに1987年4月1日から施行された鉄道事業法による、記念すべき第1号免許であった。同年10月には都市計画が決定され、第1期区間(横山 - 将来のフラワータウン間、2.3キロメートル)の施工認可を11月18日に取得、12月23日に起工した。1988年(昭和63年)には路線名称が「北摂線」から「公園都市線」へと改められ、計画されていた各駅も現在の名称に変更された。
第1期区間は、約4年の歳月と約179億円の建設費を投じて、1991年(平成3年)10月28日に横山駅 - フラワータウン駅間が開業した。これは長年の懸案を解消するもので、入居開始から10年を経て、ようやく北摂三田ニュータウンに鉄道が乗り入れた瞬間であった。この区間では神戸電鉄として初めてワンマン運転が採用され、対応車両として1500形・1600形・2000系の計15両が新造され、開業日にはフラワータウン駅で盛大な記念式典が行われた。
その後、ウッディタウン地区の入居が進むのに伴い、フラワータウン駅から北のウッディタウン中央駅へ至る第2期工事が進められた。1993年(平成5年)10月29日には終点予定地で安全祈願祭が行われ、1995年(平成7年)11月26日には最高速度が80キロメートル毎時に引き上げられ、1996年(平成8年)3月22日に第2期工事が竣工した。第1期区間よりも高い規格で、ロングレールや振動・騒音対策を採り入れて建設されたこの延伸区間は、同年3月28日に開業し、路線は全長5.5キロメートルとなった。中間駅は当初あかしあ台駅として計画されていたが開業直前に南ウッディタウン駅へ改称され、三田 - ウッディタウン中央間の所要時間は12分であった。
現在、すべての列車が三田駅まで直通するワンマン運転の普通列車であり、深夜を除き1時間あたり4本が運行されている。多くの駅および三田駅の利用者数は路線の歴史を通じて増加傾向にあり、ウッディタウン中央駅では開業時に比べて利用者数がおよそ2倍になっている。1989年(平成元年)の運輸政策審議会答申第10号では、ウッディタウン中央駅からカルチャータウン地区への延伸が盛り込まれていたが、その延伸は2004年(平成16年)の近畿地方交通審議会答申では取り上げられず、路線は建設当時のままとなっている。
年表
- 19771月14日:兵庫県当局が国鉄に対し、ニュータウンに国鉄を通さないことを通告。
- 197811月16日:ニュータウン内に神戸電鉄の都市高速鉄道新線が乗り入れる方針が決定。
- 19875月28日:5.5kmの路線の鉄道事業免許を取得。1987年4月1日施行の鉄道事業法による第1号免許であった。
- 198710月28日:都市高速鉄道として都市計画決定。(本文では10月23日とするが、年表では10月28日。)
- 198711月18日:第1期工事(横山駅 - フラワータウン駅間、2.3km)の施工認可を取得。
- 198712月23日:公園都市線建設第一期工事(横山駅 - フラワータウン駅)が起工。
- 1988路線名称が「北摂線」から「公園都市線」へと改められ、各駅も現在の名称に変更される。
- 199110月28日:約4年の歳月と約179億円を投じ、横山駅 - フラワータウン駅間が開業。三田駅まで神戸電鉄初のワンマン直通運転を開始。
- 199310月29日:公園都市線建設第二期工事(フラワータウン駅 - ウッディタウン中央駅)が起工(終点予定地で安全祈願祭)。
- 199511月26日:最高速度が80km/hに引き上げられる。
- 19963月22日:公園都市線建設第二期工事(フラワータウン駅 - ウッディタウン中央駅)が竣工。
- 19963月28日:フラワータウン駅 - ウッディタウン中央駅間が開業して全長5.5kmとなる。中間駅は開業直前にあかしあ台から南ウッディタウンへ改称、三田 - ウッディタウン中央間は所要12分。
- 20144月1日:神戸電鉄全線で駅ナンバリング(路線記号KB)が導入される。
出典
事実確認日:2026年6月14日