歴史
路線の起こりは1920年代後半にさかのぼる。1927年3月23日、御岳山電気鋼索鉄道に対して鉄道免許状が下付され、同年11月18日には御岳山登山鉄道への社名変更が届け出られた。その2日後の1927年11月20日、会社は御岳登山鉄道として正式に設立された。この事業は当初から山の宗教的な参拝輸送と地域の資本に深く結びついており、1930年代後半の筆頭株主は青梅電気鉄道であった。
ケーブルカーそのものは1934年12月31日に開業し、滝本駅と山上近くの御岳山駅とを結んだ。開業は1935年1月15日付の官報に「地方鉄道運輸開始」として記録されている。汽車会社製で定員80人の初代車両は、急峻な山腹を参拝客や登山客を乗せて運び、30年以上にわたって使われ続けた。(英語の資料では運行開始を1935年とする場合もあるが、日本語の資料は開業を1934年12月31日とし、本稿でもその日付に従う。)
第二次世界大戦中、この路線は戦時の窮乏の犠牲となった。1944年、日本の軍事的な状況が悪化するなか、滝本 - 御岳山間のケーブルカーは不要不急線とされて休止され、資材は供出された。会社は1947年10月31日に大多摩観光開発へと社名を変更し、ケーブルカーは終戦から6年後の1951年6月29日にようやく運行を再開した。会社は1961年7月1日に御岳登山鉄道の名へと戻している。
戦後の数十年で、事業は拡大し近代化が進んだ。1959年7月18日には、山のより高い場所で御岳平駅と大展望台駅とを結ぶリフト(特殊索道)が開業し、ケーブルカーの上の終点を越えて訪れる人々の足を延ばした。老朽化した初代車両は1968年に引退し、日立製作所笠戸工場で製造された2代目のコ-1形・コ-2形に置き換えられた。1972年5月29日、御岳登山鉄道は京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)の経営傘下に入り、こうして現在も属する京王グループの一員となった。
1991年には大きな工事上の変更があった。同年6月1日から7月5日まで運休し、7月6日にはレールの交換に伴って、より重い断面のレールがわずかに狭い軌間を必要としたことから、軌間が当初の1,067ミリメートルから1,049ミリメートルへ変更され、車両もこれに合わせて改造された。この珍しい1,049ミリメートルの軌間は以後この路線の標準として残り、多くの日本の鉄道とは異なる特徴となっている。
2000年代にも、この路線は現代の交通に歩調を合わせ続けた。2007年3月18日には改札口にPASMO電子マネーが導入され、当初は片道・大人運賃のみが対象であったが、2011年11月24日からは小児運賃の支払いにも利用できるようになった。2代目車両は2008年3月11日に引退し、短い運休をはさんで3代目車両が同年3月22日に運行を開始した。開業80周年を記念して、車両は2014年10月16日にデザインを一新し、「武蔵」号・「御嶽」号と改称された。
今日、御岳登山ケーブルは日中およそ20分おきに運行され、多客期には増便があり、大晦日には武蔵御嶽神社への初詣客を運ぶために終夜運行が行われる。JR青梅線の御嶽駅から西東京バスで「ケーブル下」停留所に至って乗り継ぐこの路線は、小規模ながら個性的な山岳鉄道であり続けている。さらに珍しいことに、神社のおいぬ様(大口真神)信仰にちなんで2009年に犬の受け入れを始めて以来、犬をはじめとするペットをケージに入れずに車内へ乗せることができる路線でもある。
年表
- 19273月23日:御岳山電気鋼索鉄道に鉄道免許状が下付される。11月20日に御岳登山鉄道として正式に設立。
- 193412月31日:ケーブルカー滝本駅 - 御岳山駅間が開業(1935年1月15日付官報に記録)。
- 1944太平洋戦争の戦況悪化に伴い、滝本 - 御岳山間のケーブルカーが不要不急線として休止され、資材が供出される。
- 194710月31日:大多摩観光開発に社名変更。
- 19516月29日:ケーブルカー滝本駅 - 御岳山駅間が運行を再開。
- 19597月18日:山上で御岳平駅 - 大展望台駅間のリフト(特殊索道)が開業。
- 19617月1日:御岳登山鉄道に社名を戻す。
- 1968初代車両が引退し、日立製作所笠戸工場製の2代目コ-1形・コ-2形に置き換えられる。
- 19725月29日:京王帝都電鉄(現・京王電鉄)の経営傘下に入り、京王グループの一員となる。
- 19916月1日 - 7月5日に運休し、7月6日にレール交換に伴い軌間を1,067 mmから1,049 mmへ変更、車両も改造される。
- 20073月18日:改札口にPASMO電子マネーを導入(当初は片道・大人のみ)。
- 20083月11日に2代目車両が引退。短い運休をはさみ、3月22日に3代目車両が運行を開始。
- 201111月24日:改札口でPASMOによる小児運賃の支払いが可能となる。
- 201410月16日:開業80周年を記念して車両のデザインを一新し、「武蔵」号・「御嶽」号と改称。
出典
事実確認日:2026年6月14日