歴史
中村線は、鉄道敷設法の別表に「高知県窪川付近ヨリ中村ニ至ル鉄道」として掲げられた路線として計画された。事実上は日本国有鉄道(国鉄)土讃本線(現在のJR四国土讃線)の延長線として建設され、運行上も一体であったが、土讃本線には編入されず、独立した線名を名乗った。この形式上の独立が、のちに赤字線として、さらに転換対象の特定地方交通線として選定される原因となった。建設は、戦後の各時代に国鉄の新線を建設した日本鉄道建設公団が担った。
最初の区間である窪川 - 土佐佐賀間(20.7キロメートル)は、1963年12月18日に気動車運転の路線として開業した。のちに予土線が分岐することになる川奥信号場までの区間は土讃本線の延長と見なされ、窪川 - 若井間には土讃本線の起点・多度津から200キロメートルの距離標が置かれていた。残る土佐佐賀 - 中村間(22.7キロメートル)は1970年10月1日に開業し、中村までの全線が開通した。若井から先で線路は、長さ2,031メートルの第一川奥トンネル内にほぼ収まるループ線で勾配を上る。
この路線の収支は開業当初からほぼ厳しいものだった。1968年9月には廃止が検討されうる「赤字83線」の一つに選定されたが、この計画は1972年に中止された。それでも優等列車は乗り入れた。1972年3月15日には特急「南風」が高松から窪川を経て中村まで直通運転を開始している。1974年3月1日には列車集中制御装置(CTC)が導入され、1984年2月1日には当線の貨物営業が廃止された。なお、東大方駅は1982年11月15日に有井川駅へと改称された。
国鉄の経営再建を促進する法律のもとで、中村線は1986年に第3次特定地方交通線(廃止または転換が見込まれる赤字のローカル線の区分)に指定された。1986年4月7日に選定され、5月27日には運輸大臣がその指定を承認し、協議会で第三セクター鉄道への転換が合意された。新たに設立された土佐くろしお鉄道は1986年11月22日に第1回臨時株主総会を開いて同線の引き受けを決議し、1987年12月18日に第一種鉄道事業免許の認可を受けた。
1987年4月1日の国鉄分割民営化により、当線はまず四国旅客鉄道(JR四国)に承継され、続いて1988年4月1日にその運営が土佐くろしお鉄道へ移管された。移管に際して営業キロが改定され、全線で0.4キロメートル短縮されて43.0キロメートルとなり、新駅の古津賀駅が開業した。国鉄時代に急行「あしずり」として運行されていた乗り入れの優等列車は再編され、「あしずり」はいったん快速列車(一部は普通列車)となったのち、1990年11月21日に特急列車へと復帰した。その後、佐賀公園駅が1993年10月1日に、海の王迎駅が2003年4月22日に、それぞれ中間駅として追加された。
当線が現在の運行形態を得たのは、1997年10月1日に土佐くろしお鉄道宿毛線が開業してからである。宿毛線は中村から先、中村線を宿毛方面へと南西に延ばす路線で、中村線の延長線として建設された。その開業に伴い、中村線内における特急列車の最高速度は110キロメートル毎時に引き上げられ、乗り入れの特急の多くが宿毛まで直通するようになった。2015年9月26日には、中村線と宿毛線に共通の愛称として「四万十くろしおライン」が制定された。当線は気象災害にも見舞われており、2003年12月8日には荷稲 - 伊与喜間で大規模な土砂崩壊が発生してこの区間が2004年1月10日まで不通となり、2023年6月2日には大雨による脱線事故で運休が生じたが、同年6月10日に全線で運転を再開した。
今日も中村線には、転換前と同様に、土讃線を経由して高松・高知方面から直通するJR四国の特急「しまんと」・「あしずり」が乗り入れている。2024年3月16日改正のダイヤでは、特急は「しまんと」1往復と「あしずり」7往復の計8往復が運行され、そのうち1.5往復が宿毛線へ直通する。これらの直通運転のため、土佐くろしお鉄道はJR四国と同形の2700系気動車を保有している。かつては岡山からの特急「南風」も当線に乗り入れていたが、その直通運転は2020年3月14日のダイヤ改正で廃止された。普通列車は窪川 - 中村間および宿毛方面でワンマン運転の各駅停車として運行されている。
年表
- 196312月18日:最初の区間である窪川 - 土佐佐賀間(20.7km)が、事実上土讃本線の延長として気動車運転の国鉄線として開業。
- 19689月:赤字83線の一つに選定される(廃止計画は1972年に中止)。
- 197010月1日:土佐佐賀 - 中村間(22.7km)が開業し、中村までの全線が開通。
- 19723月15日:特急「南風」が高松 - 窪川 - 中村間で運行開始。
- 19743月1日:列車集中制御装置(CTC)化。
- 198211月15日:東大方駅を有井川駅に改称。
- 19842月1日:貨物営業廃止。
- 1986第3次特定地方交通線に指定される(4月7日選定、5月27日運輸大臣承認)。第三セクター鉄道への転換が合意される。
- 198611月22日:土佐くろしお鉄道の第1回臨時株主総会で、同社が中村線の運営を引き受けることが決定。
- 19874月1日:国鉄分割民営化により四国旅客鉄道(JR四国)に承継。12月18日に土佐くろしお鉄道が第一種鉄道事業免許の認可を受ける。
- 19884月1日:中村線が土佐くろしお鉄道に移管。営業キロが改定されて全線で0.4km短縮され43.0kmとなり、古津賀駅が新設される。
- 199011月21日:転換後に快速となっていた乗り入れの「あしずり」が特急列車となり、快速列車が廃止される。
- 199310月1日:佐賀公園駅が開業。
- 199710月1日:土佐くろしお鉄道宿毛線が開業。中村線内における特急列車の110km/h運転が開始される。
- 20034月22日:海の王迎駅が開業。12月8日:荷稲 - 伊与喜間で大規模な土砂崩壊が発生し、2004年1月10日まで不通となる。
- 20159月26日:中村線と宿毛線に共通の愛称「四万十くろしおライン」が制定される。
- 20203月14日:ダイヤ改正で岡山からの特急「南風」の乗り入れが廃止される。
- 20236月2日:大雨による土砂流入で脱線事故が発生し運休。6月10日に全線で運転を再開する。
- 20243月16日:ダイヤ改正で中村線の特急列車が8往復(「しまんと」1往復・「あしずり」7往復)となり、うち1.5往復が宿毛線へ直通する。
出典
事実確認日:2026年6月14日