歴史
本線は、これまで軌道系交通機関がなかった福岡市西南部と都心部とを結ぶ。開業のはるか以前から構想されており、1971年には都市交通審議会の答申で高速鉄道路線の新設が提言され、1980年代を通じて、1989年の九州地方交通審議会答申をはじめとする一連の地域交通計画や都市計画の調査が、西南部と都心部を結ぶ放射状路線の導入を後押しした。「地下鉄3号線」に関する本格的な導入計画調査は1992年から1994年にかけて実施され、1994年12月には橋本駅 - 天神南駅間が新規補助事業に採択された。
橋本駅 - 天神南駅間の鉄道事業免許は1995年3月に申請され、同年6月に取得された。工事は1996年12月に始まり、1997年1月には安全祈願祭・起工式が行われた。都心部の六本松駅 - 天神南駅間は、かつて西鉄福岡市内線の路面電車が走っていた城南線や渡辺通りの地下を貫いている。路線の愛称は2003年に一般公募で決められ、「城南線」が第1位、「福大線」が第2位となったが、第3位の「七隈線」が、七隈が鎌倉時代から続く歴史的な地名であり、路線の中央に近いことから選ばれた。
橋本駅 - 天神南駅間は2005年2月3日に開業し、西南部の橋本駅から都心部の天神南駅までを結んだ。開業当初からすべての駅にホームドアが設置され、駅施設や設備には徹底したユニバーサルデザインが採り入れられて、2005年に日本サインデザイン協会のSDA大賞、2010年には土木学会デザイン賞を受賞し、車両は2006年に鉄道友の会のローレル賞を受けた。それ以前の日本のリニアモーターミニ地下鉄とは異なり、本線の橋本車両基地は地下ではなく地上に設けられ、非営業区間ながら同方式で初の地上区間となった。
開業まもなくから、賑わうキャナルシティ博多付近を経由して天神南駅から市の中心駅である博多駅まで延伸してほしいという要望が強かった。福岡市は2010年の費用対効果の試算を経てキャナルシティ経由のルートを決定し、2012年6月に1.6 kmの天神南駅 - 博多駅間の鉄道事業許可を取得、2014年2月に起工式を行った。延伸区間の開業は当初2020年度ごろが見込まれていた。
延伸工事は道路陥没に悩まされた。2000年の建設工事中、さらに2014年の延伸工事中にも陥没事故が起きていたが、最も深刻だったのは2016年11月8日で、JR博多駅前の博多駅前2丁目交差点付近で幅約27メートル・長さ約30メートル・深さ約15メートルに及ぶ大規模な道路陥没が発生した。地下の電気・ガス・上下水道管が切断され、周辺の企業活動やライフラインに影響が及び、周囲の道路は終日通行止めとなって避難勧告も出された。福岡市は同日、地下鉄工事が原因であることを認めて謝罪した。国の第三者委員会はのちに、陥没の主因をトンネル上部の岩盤が想定より薄く風化していたことと、地下水を含む砂質層が重なっていたことに求めた。この事故により、計画されていた開業時期は2020年度から2022年度へ、最終的に2023年3月へと延期された。
天神南駅 - 博多駅間は2023年3月27日に延伸開業し、櫛田神社前駅と博多駅が加わって、路線は全18駅・13.6 kmとなった。これは令和時代の日本で初めて開業した地下鉄路線であった。新区間は那珂川・博多川や既存の建物の下を深く通るため、櫛田神社前駅と博多駅のホームは地下25メートル以深に位置する。延伸に伴い、天神南駅の七隈線と天神駅の空港線とを乗り継げる改札外乗継制度は原則として廃止され、博多駅が路線と鉄道網全体とを結ぶ主要な接続点となった。2022年11月には、福岡市が博多駅から福岡空港国際線ターミナルへ東へさらに延伸することを検討していると発表した。
年表
- 19713月11日:都市交通審議会答申第12号で「高速鉄道路線の新設」が答申され、3号線への端緒となる。
- 198910月16日:九州地方交通審議会答申第4号で、西南部中央部と都心部を結ぶ都心放射状の鉄軌道系輸送機関の導入検討が答申される。
- 199412月:1992年から1994年の本格的な導入計画調査を経て、橋本駅 - 天神南駅間が新規補助事業に採択される。
- 19953月28日に橋本駅 - 天神南駅間の鉄道事業免許を申請し、6月7日に取得。
- 199612月11日:橋本駅 - 天神南駅間が着工。
- 19971月22日:橋本駅 - 天神南駅間の安全祈願祭・起工式が行われる。
- 20006月20日:城南線の城東橋西交差点付近の建設現場で道路陥没事故が発生(約5m×10m×8m)。本線工事に伴う3度の陥没のうち最初のもの。
- 20036月20日:路線名称が「七隈線」に決定。公募で第1位「城南線」、第2位「福大線」を抑えて選定された。
- 20052月3日:橋本駅 - 天神南駅間が開業。日本で4番目の鉄輪式リニアモーターミニ地下鉄で、開業時から全駅にホームドアを設置。
- 2006本線の3000系電車が鉄道友の会からローレル賞を受ける。
- 20113月2日:空港線・箱崎線とともに全駅で駅ナンバリング(駅番号制)の表示を開始。
- 20126月11日:天神南駅 - 博多駅間の鉄道事業許可を取得。
- 20142月12日:天神南駅 - 博多駅間の起工式。10月27日には博多警察署入口交差点付近の延伸工事現場で道路陥没事故(約3m×3m×3m)が発生。
- 201611月8日:延伸工事中、JR博多駅前の博多駅前2丁目交差点付近で約27m×30m×15mの大規模な道路陥没(博多駅前道路陥没事故)が発生。各種管路が切断され避難勧告が出され、福岡市は地下鉄工事が原因であることを認めた。
- 20182016年の陥没事故を受け、延伸区間の開業時期が2020年度から2022年度へ変更される(後に2023年3月開業と発表)。
- 20233月27日:天神南駅 - 博多駅間が延伸開業し、櫛田神社前駅と博多駅が加わって全18駅・13.6 kmに。令和時代の日本で初の地下鉄開業となり、天神・天神南駅の改札外乗継制度は原則廃止された。
出典
事実確認日:2026年6月14日