歴史
この路線は私設鉄道として始まった。1890年代半ばに加能鉄道として免許を得た会社は1896年に七尾鉄道へと社名を変更し、1898年4月24日に津幡の仮停車場と矢田新との間を開業した。その距離は当時の単位で32マイル42チェーン、約52.3キロメートルと記録され、途中で七尾の町を通っていたが、海側の七尾 - 矢田新間は貨物営業のみであった。2年後の1900年8月2日、会社は津幡で官設の北陸本線と接続する短い区間を延伸し、能登の鉄道をようやく全国の鉄道網へと結びつけた。
鉄道国有法により七尾鉄道は1907年9月1日に国へ買収され、官設鉄道が1909年10月12日に正式な線路名称を定めた際、津幡 - 矢田新間は七尾線と名づけられた。国はその後、段階的に鉄道を半島の奥へと延ばしていった。七尾 - 和倉間(和倉は現在の和倉温泉)は1925年12月15日に開業し、このとき七尾駅が現在地へ移転した。さらに1928年10月31日に和倉から能登中島まで、1932年8月27日に穴水まで延伸され、最後の区間である穴水 - 輪島間が1935年7月30日に開業して、20世紀を通じて維持されることになる路線が全通した。
長い日本国有鉄道の時代を通じて、七尾線は蒸気機関車からのちに気動車へと移り変わる地方の支線であった。1958年に気動車の営業運転が始まり、1971年には旅客列車が完全に無煙化され、1972年には全線で列車集中制御装置(CTC)が導入された。和倉駅は1980年7月1日に、隣接する温泉にちなんで和倉温泉駅へと改称された。貨物輸送が衰えるなか、1984年2月1日に津幡 - 七尾 - 穴水間の貨物営業が廃止され、七尾から七尾港への短い貨物支線も廃止されて、七尾港駅が廃止された。1987年4月1日に国鉄が分割・民営化されると、七尾線は新たに発足したJR西日本に引き継がれた。
路線の性格は1991年9月1日に大きく変わった。南側の津幡 - 和倉温泉間が直流1,500ボルトで電化され、北陸本線から特急列車が直通できるようになり、この日「スーパー雷鳥」「しらさぎ」が乗り入れを開始するとともに、金沢 - 七尾間の普通列車に使われていた従来のキハ58系気動車は415系電車へと置き換えられた。同時に、北側の和倉温泉から輪島までの区間は第三セクターののと鉄道へ移管され、JR西日本は第三種鉄道事業者として線路を保有したまま、のと鉄道が七尾 - 輪島間で第二種鉄道事業者として列車の運行を担うことになった。線路はさらに先へ続いているにもかかわらず、現在のJR西日本七尾線が津幡 - 和倉温泉間とされるのはこのためである。
最北端の区間は生き残らなかった。穴水 - 輪島間は2001年4月1日に廃止され、のと鉄道の運行とその区間に対するJR西日本の保有がともに終了した。電化されたJR区間では、北陸の鉄道網全体が再編されるなかで、名を冠した特急が相次いで登場しては姿を消した。「しらさぎ」「はくたか」の乗り入れが終わると、2015年3月14日には専用の特急「能登かがり火」が登場し、同年10月3日には観光特急「花嫁のれん」が運転を開始した。路線はその後の数年で近代化が進み、2020年10月3日から521系電車が投入され、2021年3月13日にはICカード「ICOCA」の利用とワンマン運転がともに始まった。
七尾線は2024年1月1日の能登半島地震で大きな被害を受け、全線が不通となった。運転は続く数週間のうちに区間ごとに再開され、1月3日に津幡 - 高松間が、そして2月15日に最後まで残っていた七尾 - 和倉温泉間が復旧した。その直後、並行する北陸本線の経営移管に伴う2024年3月16日のダイヤ改正により、特急「サンダーバード」の七尾線への乗り入れが終了した。現在、この路線は金沢と能登の町々を結ぶ普通電車に加えて特急「能登かがり火」や観光列車「花嫁のれん」を走らせており、のと鉄道の穴水への直通を支えながら、能登半島へと至る主要な鉄道幹線であり続けている。
年表
- 18984月24日:七尾鉄道が最初の区間である津幡仮停車場 - 矢田新間(約52.3km)を七尾を経由して開業。海側の七尾 - 矢田新間は貨物営業のみ。
- 19008月2日:津幡で官設の北陸本線に接続する区間まで延伸し、能登の鉄道が全国の鉄道網に結ばれる。
- 19079月1日:鉄道国有法により七尾鉄道が買収され、国有化される。
- 190910月12日:国有鉄道線路名称の制定により、津幡 - 矢田新間が七尾線と名づけられる。
- 192512月15日:七尾 - 和倉(現在の和倉温泉)間が延伸開業。七尾駅が現在地に移転する。
- 192810月31日:和倉 - 能登中島間が延伸開業する。
- 19328月27日:能登中島 - 穴水間(16.9km)が延伸開業する。
- 19357月30日:穴水 - 輪島間(20.4km)が延伸開業し、能登半島先端まで全線開通する。
- 19807月1日:和倉駅が和倉温泉駅に改称される。
- 19842月1日:津幡 - 七尾 - 穴水間の貨物営業が廃止。七尾 - 七尾港間の貨物支線(2.1km)が廃止され、七尾港駅も廃止される。
- 19874月1日:国鉄分割民営化により、七尾線が西日本旅客鉄道(JR西日本)に継承される。
- 19919月1日:津幡 - 和倉温泉間が直流1,500Vで電化され、特急「スーパー雷鳥」「しらさぎ」が乗り入れ開始。和倉温泉 - 輪島間がのと鉄道に経営移管され(七尾 - 輪島間はのと鉄道が第二種、JR西日本が線路を保有する第三種鉄道事業者となる)、金沢 - 七尾間の普通列車はキハ58系から415系電車に置き換えられる。
- 20014月1日:穴水 - 輪島間が廃止され、のと鉄道の運行とJR西日本の同区間の保有がともに終了する。
- 20153月14日:「しらさぎ」「はくたか」の乗り入れ廃止に伴い、専用特急「能登かがり火」が運転開始。10月3日には観光特急「花嫁のれん」が運転を開始する。
- 20213月13日:全線でICカード「ICOCA」が利用可能となり、ワンマン運転を開始する(2020年10月3日の521系電車投入に続くもの)。
- 20241月1日:能登半島地震により全線が不通となり、段階的に運転を再開(1月3日に津幡 - 高松間、2月15日に七尾 - 和倉温泉間)。3月16日、北陸本線の経営移管に伴うダイヤ改正で、特急「サンダーバード」の七尾線乗り入れが終了する。
出典
事実確認日:2026年6月15日