歴史
この路線は六甲越有馬鉄道によって建設され、1932年3月10日に、土橋駅(現在の六甲ケーブル下駅)から途中の清水駅を経て六甲山駅(現在の六甲山上駅)までが開業した。開業当時は2つのケーブル区間に分かれており、乗客は途中の清水駅で乗り継ぐ必要があった。前身の会社は当初、御影から有馬温泉方面へ、複数の短いケーブル区間を用いて結ぶより大がかりな山岳鉄道の免許を持っていたが、1928年に阪神がこの会社を買収すると、莫大な建設費と技術的な問題からバスとケーブルカーを組み合わせる計画へと改められ、当初の鉄道免許は1937年に失効した。
この路線は1938年7月の阪神大水害に巻き込まれた。7月5日の豪雨で全線が不通となり、土石流によって土橋駅と清水駅が倒壊した。8月4日には仮復旧により運行が再開された。この災害は鉄道のあり方を変え、下の駅は現在も残る山小屋風の建築に建て直され、1939年2月には途中駅が廃止されて、当初の4列車方式に代えて1本のケーブルを2両で運行する方式へと改められた。
第二次世界大戦中、この路線は不要不急線に指定されて1944年2月11日に休止したが、多くの同種の路線と異なり、線路は撤去されずに残された。戦前には阪急系列の空中索道(ロープウェイ)が1931年にケーブル線と並行して開業しており、両陣営は六甲への客をめぐって激しく争った。両者とも不要不急線に指定されて1944年に営業を休止したが、ロープウェイが撤去された一方で、ケーブル線は線路の撤去が難航し、終戦まで残った。運行は1945年8月25日に再開された。
戦後の数十年で、路線は着実に近代化され、その経営主体も移り変わっていった。1959年には2代目車両が運行を開始した。麓の終点である土橋駅は、1973年2月1日に六甲ケーブル下駅と改称された。1975年10月29日には、六甲越有馬鉄道が摩耶ケーブルを運営する摩耶鋼索鉄道を合併し、六甲摩耶鉄道と改称した。この路線は皇族の来訪も受け、1968年には皇太子明仁親王と同妃美智子が乗車し、1981年には昭和天皇が六甲山上駅を訪れ、その後、駅の屋上展望台は天覧台と改称された。
自然災害と経営の変化が、路線のその後の歴史を彩った。1995年1月17日の阪神・淡路大震災により同年7月21日まで不通となり、片側の上半分を外気に開放した特徴的な展望車を含む3代目車両が1999年3月27日に運行を開始した。2013年9月16日には台風18号による土砂災害で路線が休止し、その数週間後の2013年10月1日、六甲摩耶鉄道は六甲山の行楽施設を運営する阪神総合レジャーと合併して、路線は六甲山観光のものとなった。土砂が完全に撤去された後、2014年1月25日に運行を再開した。
2024年4月1日、六甲山観光は神戸六甲鉄道に社名を変更し、運営は上下分離方式へと移行した。ケーブル事業の資産は阪神電気鉄道に譲渡されて同社が第三種鉄道事業者として施設を保有し、神戸六甲鉄道が第二種鉄道事業者として運行と設備管理を担うことになった。現在、このケーブルカーはおよそ20分間隔、所要約10分で六甲山を登り、山上駅では六甲山上バスと、さらにその先の有馬温泉へ向かう六甲有馬ロープウェーと接続している。開業時のものであるアールデコ調の山上駅舎は、大切に保存されている。
年表
- 19323月10日:六甲越有馬鉄道により、土橋駅(現在の六甲ケーブル下駅) - 清水駅 - 六甲山駅(現在の六甲山上駅)間が開業。当時は2区間に分かれ、清水駅で乗り継ぐ必要があった。
- 19387月5日:阪神大水害により全線不通となり、土橋駅・清水駅が土石流で倒壊。8月4日に仮復旧で運行再開。
- 19392月:途中の清水駅を廃止し、当初の4列車方式に代えて1本のケーブルを2両で運行する方式に改める。
- 19442月11日:不要不急線として路線休止。線路は撤去されなかった。
- 19458月25日:戦後、運行再開。
- 19592代目車両が運行を開始。
- 19688月10日:皇太子明仁親王・同妃美智子が乗車。
- 19732月1日:土橋駅を六甲ケーブル下駅と改称。
- 197510月29日:六甲越有馬鉄道が摩耶ケーブルを運営する摩耶鋼索鉄道を合併し、六甲摩耶鉄道となる。
- 19815月25日:昭和天皇が六甲山上駅を訪問。屋上展望台を「天覧台」と改称。
- 19951月17日:阪神・淡路大震災により不通。7月21日に運行再開。
- 19993月27日:展望車を含む3代目車両が運行を開始。
- 20139月16日:台風18号による土砂災害で運行休止。10月1日、六甲摩耶鉄道が阪神総合レジャーと合併し、路線は六甲山観光のものとなる。
- 20141月25日:土砂の完全撤去により復旧し、運行再開。
- 20244月1日:六甲山観光が神戸六甲鉄道に社名変更。資産を阪神電気鉄道(第三種)へ譲渡し、神戸六甲鉄道が第二種事業者として運行・設備管理を担う上下分離方式に移行。
出典
事実確認日:2026年6月14日