歴史
札幌市電の路線網全体は、都心線よりはるかに古い。最初の区間は1909年(明治42年)に、建築用石材として需要が急増した「札幌軟石」を運ぶ馬車鉄道、札幌石材馬車鉄道として開業した。1918年(大正7年)に電化されて札幌電気軌道として開業し、1927年(昭和2年)に市営化された。最盛期の1958年(昭和33年)ごろには、路線網は11路線・7系統、総延長約25キロメートルに達し、市内の東西南北に路線を広げていた。
都心線が今走る区間には、かつても電車が走っていた。古い西四丁目線は1918年に開業しており、1971年(昭和46年)12月16日には、一条線と直交していた三越前-すすきの間の軌道が西4丁目に接続されて、一時的に環状化された。しかしそれは長く続かず、自動車の普及と札幌市営地下鉄の建設により1960年代から1970年代にかけて計4次にわたる路線縮小が進み、西四丁目線は1973年(昭和48年)4月1日に全線廃止された。縮小が終わると、残ったのは一条線・山鼻西線・山鼻線の三路線だけとなり、網は都心を横切る区間が欠けた不完全なC字型となっていた。
その欠落を埋める計画は2010年代に具体化した。2012年(平成24年)1月、西4丁目-すすきの間を駅前通り上に複線で接続する方針が固まったと報じられ、狸小路付近に新たな停留場を設けること、そして既設区間とは異なり軌道が歩道沿いに設置される予定であることが示された。この延伸と新型低床車両の導入を含む「札幌市路面電車活用計画」は2012年(平成24年)4月に決定・公表され、総事業費は約十億円規模とされ、この区間ではおよそ40年ぶりに路面電車が復活することになった。
環状化のための延伸開業は当初2015年(平成27年)春と発表されていたが、2014年(平成26年)7月、札幌市交通局は軌道工事の入札不調と品質管理上の問題により開業が遅れることを明らかにした。新たな開業日は、同年11月5日の市長記者会見で発表された。新設区間での試験走行は2015年(平成27年)11月11日午前に始まり、サイドリザベーション方式のため、初日は運転士や運行管理担当の指導員16人と歩道の警備員を配置し、歩行者や並走する自動車に配慮しながら交代で運転された。
2015年(平成27年)12月20日、西4丁目-すすきの間が都心線として開業し、同時に狸小路停留場が開業した。欠落が埋まり、一条線・山鼻西線・山鼻線と新しい都心線の四路線は一つの連続した環をなし、市電は環状運転を開始した。この変化は利用者を呼び戻し、ループ化後の利用者数は1日あたり平均2万4,396人と、ループ化前に比べて約11%の増加となり、札幌市が事前に想定していた1日平均600人増を大きく上回った。
環状化以降、都心線は「一条・山鼻軌道線」の一体として運用され、ほぼすべての電車が全周を周回している。2020年(令和2年)には運営の仕組みが変わった。国の認可を受けた上下分離方式のもと、札幌市交通局が引き続き軌道・車両などの設備を保有し、路面電車の日々の運行は2020年(令和2年)4月1日から一般財団法人札幌市交通事業振興公社に移管された。今日、都心線はわずか0.449キロメートルながら、札幌市電の環を環たらしめる要の区間であり続けている。
年表
- 1909札幌市電の最初の区間が、「札幌軟石」を運ぶ馬車鉄道、札幌石材馬車鉄道として開業。
- 1918電化されて札幌電気軌道として開業。現在の都心線区間の前身である西四丁目線が8月12日に開業。
- 1927札幌市が路面電車網を市営化。
- 197112月16日:西四丁目線の一部が敷き直され、三越前-すすきの軌道が西4丁目に接続されて一時的に環状化。
- 19734月1日:西四丁目線が全線廃止され、一条線・山鼻西線・山鼻線のみが残り、都心を横切る区間が欠落となる。
- 20121月:西4丁目-すすきの間を駅前通り上に複線で接続する方針が固まったと報道。同年4月、狸小路停留場の新設や約十億円の総事業費を含む「札幌市路面電車活用計画」を決定。
- 20147月:札幌市交通局が、当初2015年春予定だった環状化の延伸が、軌道工事の入札不調と品質管理上の問題により遅れると発表。
- 201511月11日:サイドリザベーション方式の新設区間で試験走行を開始。指導員16人と歩道の警備員を配置して行われた。
- 201512月20日:西4丁目-すすきの間が都心線として開業し、狸小路停留場も開業。四路線が連続した環をなし、市電は環状運転を開始。
- 2015ループ化後の利用者数は1日平均2万4,396人と、ループ化前比約11%増となり、札幌市の想定(1日平均600人増)を大きく上回った。
- 20204月1日:上下分離方式のもと、路面電車の運行が一般財団法人札幌市交通事業振興公社に移管され、軌道・車両の保有は札幌市交通局が継続。
出典
事実確認日:2026年6月14日