JR線·約4分で読めます

江の島線

Shōnan Monorail Enoshima Line

江の島線(えのしません)は、神奈川県を走る全長6.6キロメートルの懸垂式モノレール路線で、鎌倉市の大船駅と藤沢市の湘南江の島駅を結ぶ。運営する湘南モノレール株式会社は、2015年以降みちのりホールディングスの子会社となっており、車両が1本の桁の下に吊り下がって走る三菱サフェージュ式の懸垂式路線である。駅は8つで、大半が単線、うち4駅に列車交換用の交換設備があり、直流1,500ボルトで電化されている。1970年の開業時には日本初の懸垂式モノレールであり、三浦半島の付け根にある丘陵地帯を貫く急勾配・急カーブとめまぐるしく上下する線形から、しばしばジェットコースターにたとえられる。

横浜藤沢市鎌倉市2 km
江の島線の路線図 · 境界: 国土数値情報(国交省)・GSI

歴史

この路線は、路面電車に代わる都市交通として各地で複数のモノレール規格が試験敷設されていた1960年代に構想された。日立製作所が主導する跨座式モノレールに対抗する三菱重工業の懸垂式モノレール技術を売り込むためのモデル路線として建設されたものである。計画にあたっては、1964年から名古屋市の東山動植物園内で運行されていた懸垂式の試験線である東山公園モノレールで得られたデータが活かされ、大船と観光地・江の島を結ぶ経路は、跨座式に対する懸垂式の性能を誇示できるよう、あえて急勾配・急カーブの地形が選ばれた。

建設には三菱グループの総合力が動員され、軌道桁・支柱の製造を三菱重工業横浜造船所が、車両を同三原製作所が、変電所を三菱電機が担当し、総合監理を三菱地所が行った。モノレールは旧京浜急行自動車専用道路の上空に沿って建設された。この道路は、もともと普通鉄道を敷くために取得された用地が、計画の頓挫を受けて日本初の自動車専用道路として整備された私道で、建設当時は京浜急行電鉄が所有・運営していたが、現在では鎌倉市と藤沢市に売却されて一般の市道となっている。

湘南モノレールは1965年10月6日に敷設免許を申請し、同年10月26日には運輸審議会が運輸大臣に対して免許することが妥当である旨を答申した。最初の区間である大船 - 西鎌倉間は1970年3月7日に2両編成の300形車両によって開業し、西鎌倉から湘南江の島までの延伸区間は1971年7月1日に開業して全線が開通した。沿う道路には勾配88‰、曲線半径25メートルという険しい箇所もあったため、モノレール自体の線形は最急勾配を74.0‰、最小曲線半径を本線100メートル・駅構内50メートルに緩和し、途中2か所で道路の上空を外れてトンネルを設けている。

沿線の開発が進むにつれ、この路線はしだいに通勤路線としての性格を強めていった。途中駅の周辺は準工業地域や商業・住宅地として再整備され、西鎌倉 - 目白山下間にあった別荘地は分譲住宅地として再開発された。開業時の2両編成では利用客をさばききれなくなり、1975年1月30日には3両編成の300形が運行を開始した。路線は片瀬海岸や江の島といった保養地・観光地へのアクセス手段の一つでもあるが、1978年には観光需要が約3割、通勤需要が約7割であったものが、近年では通勤需要が約9割に達している。車両はその後数十年にわたり近代化が進められ、1980年には400形が、1988年には路線初の冷房車である500形が運行を開始した。

この路線では、下の道路で使われる作業車両を巻き込んだ事故が何度か発生している。1990年2月20日には、西鎌倉 - 片瀬山間で湘南江の島行きの列車が、軌道下の市道で作業していたクレーン車のアームに衝突して車両前面が大破し、運転士が重傷を負ったが、乗客に死者はなく、同日午後に運転を再開した。2008年2月24日には、ブレーキ故障により列車が西鎌倉駅でオーバーランしたが負傷者はなく、後に運輸安全委員会の報告書はこの事故の原因を制御装置の異常と判断した。2008年11月7日には、湘南深沢 - 西鎌倉間で列車が高所作業車のゴンドラ部分に衝突したが、このときも負傷者はなかった。

2004年以降、この路線はアルミ車体の3両編成の5000系7編成によって運行されている。5000系は可変電圧可変周波数(VVVF)制御を採用する。5000系は2004年6月24日に営業運転を開始し、400形は2004年7月に運用を終了、500形は2016年6月1日に23年ぶりのダイヤ改正が実施された直後の同年6月26日に最後の運行を行った。2015年5月には、過半数の株式が三菱グループからみちのりホールディングスへと移った。2018年4月1日にはPASMOをはじめとする交通系ICカード全国相互利用サービスへの対応を開始し、同年9月13日にはドイツの懸垂式モノレールで観光名所でもあるヴッパータール空中鉄道と姉妹懸垂式モノレール協定を締結した。

年表

  • 196510月6日:湘南モノレールが大船 - 片瀬間の懸垂式地方鉄道の敷設免許を申請。10月26日には運輸審議会が運輸大臣へ免許することが妥当と答申。
  • 19703月7日:最初の区間である大船 - 西鎌倉間が日本初の懸垂式モノレールとして開業。300形車両が2両編成で営業運転を開始。
  • 19717月1日:西鎌倉 - 湘南江の島間が開業し、全長6.6キロメートルの全線が開通。
  • 19751月30日:利用客の増加に対応して、300形の3両編成が営業運転を開始。
  • 19803月3日:400形車両が営業運転を開始。
  • 19883月31日:路線初の冷房車である500形車両が営業運転を開始。
  • 19902月20日:西鎌倉 - 片瀬山間で湘南江の島行き列車が軌道下で作業中のクレーン車のアームに衝突して前面が大破し、運転士が重傷を負う。乗客に死者はなく、同日午後に運転を再開。
  • 19927月11日:ダイヤ改正により、平日昼間のダイヤが7.5分間隔となる。
  • 20046月24日:3両編成の5000系車両が営業運転を開始。400形は2004年7月に運用を終了。
  • 20082月24日:ブレーキ故障により列車が西鎌倉駅でオーバーラン。負傷者なし。11月7日には湘南深沢 - 西鎌倉間で列車が高所作業車のゴンドラに衝突したが、これも負傷者なし。
  • 20096月26日:運輸安全委員会が2008年2月の冒進事故の調査報告書を公表し、原因を制御装置の異常と判断する。
  • 20155月:湘南モノレールの過半数の株式が三菱グループからみちのりホールディングスへ移る。
  • 20166月1日:23年ぶりにダイヤ改正を実施し、土曜日のダイヤを休日ダイヤに統合。6月26日には500形車両が最後の運行を行う。
  • 20184月1日:PASMOをはじめとする交通系ICカード全国相互利用サービスへの対応を開始。9月13日にはドイツのヴッパータール空中鉄道と姉妹懸垂式モノレール協定を締結。

出典