歴史
この路線は、伊勢電気鉄道の前身である伊勢鉄道が、かつて神戸城の城下町であり現在は鈴鹿市の一部となっている神戸町へ通じる支線として敷設したものである。1925年12月20日に伊勢鉄道神戸支線として伊勢若松 - 伊勢神戸(現・鈴鹿市駅)間が開業し、長らく同駅止まりのローカル線であった。開業当初は蒸気機関車で運行されていたが、1926年末に全線が電化されると、まもなく姿を消した。
その後、1930年代後半から1940年代初頭にかけて日本の私鉄業界を席巻した合併の波の中で、路線の所有は次々と各社へと移っていった。伊勢鉄道は1926年に伊勢電気鉄道へと社名を変更しており、1936年には参宮急行電鉄が伊勢電気鉄道を合併して、路線は伊勢神戸線となった。1941年には大阪電気軌道が参宮急行電鉄を合併して関西急行鉄道が成立し、路線は神戸線と改称された。
1944年6月1日、関西急行鉄道は近畿日本鉄道、すなわち今日の近鉄へと社名を変更し、これに伴って路線も近鉄神戸線となった。このように、この路線は単一の買収によってではなく、こうした戦時下の合併の帰結として近鉄の路線網に組み込まれたのであり、その後もなお十数年にわたり、地域に密着した短い支線であり続けた。
近鉄は1950年代後半から1960年代にかけて、この路線を大きく作り変えた。1959年11月23日には、接続する名古屋線の改軌に合わせて全線が1,067ミリメートルの狭軌から1,435ミリメートルの標準軌へと改軌され、両線間の直通運転が可能となった。改軌工事に際しては、より重量級の車両が入線できるよう路盤の強化も実施された。この時点まで、路線はなお伊勢神戸を終点とする行き止まりの支線であった。
決定的な変化は工業がもたらした。太平洋戦争後、鈴鹿市では1950年代を通じて積極的な工場誘致施策が進められ、市街地西方に大規模な工場が相次いで建設された。こうして生じた通勤輸送をまかなうため、路線は西へ延伸され、1963年4月8日に鈴鹿市 - 平田町間の新区間が開業、伊勢神戸駅は鈴鹿市駅と改称され、路線は現在の名称である近鉄鈴鹿線となった。新たに2駅が設けられ、平田町が新しい終点となった。
1960年代以降、路線は着実に近代化され、運行形態も簡素化されていった。1968年10月17日には全線でATS(自動列車停止装置)の使用が開始され、1995年3月16日には最高速度が65キロメートル毎時から80キロメートル毎時へ引き上げられて、全区間の所要時間が約1分短縮された。名古屋線への直通列車は次第に縮小され、近鉄名古屋発着の昼間の急行は1988年まで、近鉄四日市発着の普通は1998年3月のダイヤ変更まで運転されたのち、1998年6月13日には線内折り返し列車でワンマン(車掌なし)運転が開始された。
21世紀に入ると、路線は短い通勤支線としての役割に落ち着いた。2007年4月1日には全駅でPiTaPa・ICOCAなどのICカードの取り扱いが始まり、2010年4月1日には全線で名古屋列車運行管理システム「KRONOS」(クロノス)の運用が開始された。2012年3月には昼間時の運転本数が毎時3本から2本へ減便された。現在、列車の大半は線内を折り返すワンマンの普通列車で、平日朝に近鉄四日市発の急行が1本加わるのみであり、無人駅である柳駅と三日市駅では簡易なICカード改札機で対応している。
年表
- 192512月20日:伊勢鉄道が伊勢鉄道神戸支線として伊勢若松 - 伊勢神戸(現・鈴鹿市)間を開業。
- 19269月12日:伊勢鉄道が伊勢電気鉄道に社名変更。12月26日:全線電化され、まもなく蒸気運転を終える。
- 19369月15日:参宮急行電鉄が伊勢電気鉄道を合併。路線は伊勢神戸線となる。
- 19413月15日:大阪電気軌道が参宮急行電鉄を合併して関西急行鉄道となる。路線は神戸線と改称。
- 19446月1日:関西急行鉄道が近畿日本鉄道(近鉄)に社名変更。路線は近鉄神戸線となる。
- 195911月23日:名古屋線に合わせて全線を1,067mmの狭軌から1,435mmの標準軌に改軌。重量級車両の入線に備え路盤も強化された。
- 19634月8日:鈴鹿市 - 平田町間が開業。伊勢神戸駅を鈴鹿市駅に改称し、路線を鈴鹿線と改称。
- 196810月17日:全線でATS(自動列車停止装置)の使用を開始。
- 1988近鉄名古屋発着で昼間に毎時1本運転されていた直通急行が、この年までで運転を終える。
- 19953月16日:最高速度を65km/hから80km/hに引き上げ、所要時間を約1分短縮。
- 19983月:近鉄四日市発着の直通普通列車が廃止。6月13日:線内折り返し列車でワンマン運転を開始。
- 20074月1日:各駅でPiTaPa・ICOCAの取り扱いを開始。
- 20104月1日:伊勢若松 - 平田町間の全線で名古屋列車運行管理システム「KRONOS」の運用を開始。
- 20123月20日:昼間時の運転本数を毎時3本から2本に減便。
- 20137月 - 8月:火曜日に相次いで停電が発生し列車が運休。当線へ電力を供給する名古屋線沿いの送電線にヘビが絡みショートしたのが原因とされた。
出典
事実確認日:2026年6月14日