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多賀線

Ohmi Railway Taga Line

近江鉄道多賀線(おうみてつとうたがせん、多賀線)は、日本の滋賀県を走る近江鉄道の短い地方鉄道路線である。路線距離はわずか2.5キロメートルで、彦根市の高宮駅で同社の本線から分岐し、犬上郡多賀町の多賀大社前駅までを結ぶ。全線が単線で、軌間は1,067ミリメートルの狭軌、電化方式は直流1,500ボルトで、駅は3駅、最高速度は70キロメートル毎時である。この路線はもともと滋賀でも有数の神社である多賀大社への参詣路線として建設されたもので、現在では彦根方面への通勤・通学路線をも兼ねている。

彦根市甲良町豊郷町2 km
多賀線の路線図 · 境界: 国土数値情報(国交省)・GSI

歴史

この路線は近江鉄道自身ではなく、別の発起人グループに由来する。1912年(大正元年)9月12日、三浦泉ほか7名の発起による多賀軽便鉄道に対して、犬上郡高宮村から同郡多賀村大字多賀間の鉄道免許状が下付された(軌間2フィート6インチ)。近江鉄道はこの免許を無償で譲り受け、自ら路線を建設した。1914年(大正3年)3月8日、高宮駅―多賀駅(現在の多賀大社前駅)間が開業し、高宮駅・土田駅・多賀駅が設置された。多賀大社への路線開通は近江鉄道の業績向上に寄与したという。

路線は1925年(大正14年)3月12日に全線が電化された(当初は600ボルト)。(英語版ウィキペディアの記事はさらに、この電圧が本線の昇圧に合わせて1928年に1,500ボルトへ引き上げられたと記すが、日本語版の記事は1925年の600ボルトでの電化のみを記録し、1,500ボルトへの変更の年月を示していないため、ここではその後の昇圧を独立した年代ある出来事としては扱わずに記すにとどめる。)現在の電化方式は直流1,500ボルトである。

開業時の3駅がすべて存続したわけではない。高宮駅と多賀駅の間にあった土田駅は、1943年(昭和18年)10月に戦時下の統制のなかで休止され、1953年(昭和28年)10月に正式に廃止された。土田駅は高宮駅から1.9キロメートル、多賀駅の手前0.6キロメートルの地点にあり、その廃止後、路線は、のちの一駅追加を除けば現在まで続く中間二駅の形態に落ち着いた。

多賀線は数十年にわたり、旅客輸送と並んで多くの貨物を扱っていた。1960年(昭和35年)11月10日からは、多賀の東亜セメント(のちの住友セメント、現在の住友大阪セメント)工場と彦根の野沢セメント工場との間で石灰石輸送を開始した。1974年(昭和49年)6月1日にはキリンビール滋賀工場への引き込み線が多賀線と結ばれ、高宮駅にはこの中継のための貨物ヤードが設けられていた。これらの輸送は1980年代に縮小され、1984年(昭和59年)10月1日にキリンビールの貨物輸送が、そして1986年(昭和61年)3月27日にセメント工場間の石灰石輸送が廃止された。

貨物輸送が衰退するにつれて、路線は旅客営業向けに近代化された。1976年(昭和51年)5月1日にワンマン運転が開始された。1998年(平成10年)4月1日には終着駅である多賀駅が多賀大社前駅へと改称され、この路線の存在意義である神社の役割が改めて示された。2008年(平成20年)3月15日には、近くの大日本スクリーンの工場にちなんだスクリーン駅が高宮駅―多賀大社前駅間に開業し、路線は再び三駅となった。

21世紀に入ると、この路線は近江鉄道のブランディングと新たな運営体制に組み込まれた。2013年(平成25年)3月16日から、多賀線は本線の米原駅―高宮駅間とともに、赤をラインカラーとする「彦根・多賀大社線」の愛称が付けられた。そして2024年(令和6年)4月1日、近江鉄道の路線は公有民営による上下分離方式へ移行した。滋賀県と沿線の地方公共団体がつくる新たな組織、近江鉄道線管理機構が鉄道設備を保有し、近江鉄道が引き続き列車を運行している。

年表

  • 19129月12日:三浦泉ほか7名の発起による多賀軽便鉄道に対し、高宮―多賀間(軌間2フィート6インチ)の鉄道免許状が下付される。のちに近江鉄道がこの免許を無償で譲り受ける。
  • 19143月8日:高宮駅―多賀駅(現・多賀大社前駅)間が開業し、高宮駅・土田駅・多賀駅が設置される。
  • 19253月12日:全線が電化される(当初は600ボルト)。
  • 194310月:高宮駅と多賀駅の間にある土田駅が休止となる。
  • 195310月:土田駅が廃止される。
  • 196011月10日:多賀の東亜(のちの住友)セメント工場と彦根の野沢セメント工場との間で石灰石輸送を開始。
  • 19746月1日:キリンビール滋賀工場への引き込み線が多賀線と結ばれる。
  • 19765月1日:ワンマン運転を開始。
  • 198410月1日:キリンビールの貨物輸送が廃止される。
  • 19863月27日:セメント工場間の石灰石輸送が廃止される。
  • 19984月1日:多賀駅が多賀大社前駅に改称される。
  • 20083月15日:高宮駅―多賀大社前駅間にスクリーン駅が開業し、路線は再び三駅となる。
  • 20133月16日:本線の米原駅―高宮駅間とともに「彦根・多賀大社線」(ラインカラー:赤)の愛称が付けられる。
  • 20244月1日:近江鉄道の路線が公有民営による上下分離方式へ移行。近江鉄道線管理機構が鉄道設備を保有し、近江鉄道が運行を継続する。

出典