鉄道路線·約3分で読めます

大師線

Tobu Daishi Line

大師線(だいしせん)は、東京都足立区の西新井駅と大師前駅を結ぶ、私鉄の東武鉄道が所有・運営する営業キロ1.0キロメートルの鉄道路線である。東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)と接続する西新井駅と、西新井大師(総持寺)への参詣客が利用するもう一つの駅である大師前駅とを結ぶ。駅は2駅のみで途中駅はなく、京成金町線・西武豊島線と並んで、東京23区内では数少ない全線単線の旅客路線の一つである。列車は短い区間を往復するシャトル運行で、駅ナンバリングの路線記号は「TS」である。

東京北区荒川区2 km
大師線の路線図 · 境界: 国土数値情報(国交省)・GSI

歴史

この路線は、はるかに壮大だった「西板線」(せいたせん)計画の生き残った一部である。1920年に東武鉄道が東上鉄道を合併した後、同社は伊勢崎線の西新井駅から東上本線の上板橋駅までを、ほぼ現在の環七通り(環状七号線)に沿って結ぶ全長11.6キロメートルの連絡線を計画した。「西板」の名は西新井と板橋を合わせたものである。この連絡線は、それまで別々であった東武の二つの路線網を結び、両者の間で車両を効率的に転属させ、直通運転を行うことを目的としていた。西新井 - 上板橋間の免許申請は1922年11月に行われ、免許は1924年5月に下付された。

西板線の全線が建設されることはなかった。免許の申請から下付までの間にあたる1923年に関東大震災が発生し、東武は既存路線の被災復旧を優先せざるを得なかった。当時建設中だった荒川放水路の堤防などの護岸整備が完了しておらず架橋の設計ができなかったうえ、荒川と隅田川の双方を跨ぐ橋梁の建設費用も高額であった。予定地の町関係者からは経路変更の要求が出され、大正末期から昭和初期にかけて沿線一帯が急速に市街地化したため、建設費は膨らみ採算の見込みは薄れていった。実際に完成したのは、すでに用地を確保していた西新井 - 大師前間の短い区間のみで、西新井大師への参詣客輸送を目的として開業した。

この区間は1931年12月20日に西板線として開業し、西新井 - 大師前間1.1キロメートルで旅客運輸を開始した。壮大な計画はその後、段階的に解体されていった。開業の翌年にあたる1932年7月、同社は鹿浜(江北)方面から上板橋までの建設計画を起業廃止した。残る大師前 - 鹿浜間については工事竣工期限の延期願を提出していたが、1937年6月に不認可とされ、免許は失効した。連絡線が完成しなかったため、東武の本線系と東上線系の路線網は現在も接続されておらず、両者の間の車両転属は秩父鉄道を経由して行われている。

第二次世界大戦中の1945年5月20日、当線は全線で営業を休止した。営業は1947年5月21日に再開され、この時に路線名は大師線と改称されて、以後その名称が用いられている。当線は、西新井大師への、また西新井での伊勢崎線との乗換のための短い支線という役割に落ち着いた。

1968年12月1日、環七通りの拡幅のため大師前駅が移転し、路線は0.1キロメートル短縮されて現在の1.0キロメートルとなった。1991年7月26日には、西新井駅のすぐ近辺を除いて当線は高架化された。この高架化によって線内のすべての踏切が除去され、大師線は全線において踏切が一つも存在しない、東武で唯一の路線となった。

2003年3月19日にワンマン(運転士のみ)運転が開始され、以後は通常2両編成の車両1本が線内を往復している。運行はほぼ終日に渡り約10分間隔で、早朝・深夜の時間帯でも最大15分間隔、正月三が日には参詣客のため増便される。2012年3月17日には東武の全路線で駅ナンバリングが導入され、大師線の各駅には「TS」の記号が付された。大師前駅は長年にわたり自前の改札や券売機を持たず、運賃の収受は西新井駅構内の専用改札で行われていたが、2026年3月1日に大師前駅へ改札口・自動券売機・自動精算機が新設され、西新井駅での連絡対応は廃止された。

年表

  • 192211月:東武鉄道が西新井 - 上板橋間(西板線)の連絡線の免許を申請。
  • 19245月5日:南足立郡西新井村 - 北豊島郡上板橋村間の鉄道免許状が下付される(動力蒸気)。
  • 193112月20日:西板線として西新井 - 大師前間1.1kmが旅客運輸を開始(開業)。
  • 19327月22日:鹿浜(江北)方面 - 上板橋間の起業廃止が許可される。
  • 19376月:大師前 - 鹿浜間の工事竣工期限延期願が不認可となり、免許が失効する。
  • 19455月20日:第二次世界大戦中、全線で営業を休止。
  • 19475月21日:全線で営業を再開し、大師線と改称。
  • 196812月1日:環七通り拡幅のため大師前駅が移転。0.1km短縮され、路線距離は1.0kmとなる。
  • 19917月26日:西新井駅近辺を除き高架化され、線内の全踏切が除去される。
  • 20033月19日:ワンマン運転を開始。
  • 20123月17日:東武の全路線で駅ナンバリングが導入され、大師線の各駅に「TS」が付される。
  • 20263月1日:大師前駅に改札口・自動券売機・自動精算機を新設し、西新井駅の連絡改札を廃止。

出典