歴史
この路線は、もともと南北線が建設されたのと同じ混雑問題から生まれた。人口の多い札幌市東区は1971年の南北線開業以降もその恩恵を受けていたが、都心部へ向かう主たる交通機関は依然として路線バスであり、冬季の積雪による車線減少と高頻度のバス運行が相まって慢性的な渋滞を引き起こしていた。また南北線開業後にバス路線を各駅へ短絡させた結果、乗客が集中し、南北線のピーク時の乗車率は200パーセントを超えるほどであった。これを解消するため、1971年に地下鉄3号線(第二南北線)として計画された新路線の建設が、東区選出の市議会議員を中心に推し進められた。
市議会は1980年8月9日に3号線の建設を可決した。栄町 - すすきの(仮称)間の地方鉄道敷設免許は1982年1月30日に取得され、同区間の建設は1983年7月6日に着工された。終点側は当初、山鼻線・山鼻西線の市電を置き換えるべく山鼻地区への延伸が想定されていたが、市電廃止への沿線の反対に加え、豊平区でも国道36号の渋滞が深刻化したことから、ルートは月寒・北野方面へと向け直された。
最初の区間である栄町 - 豊水すすきの間(8.1キロメートル)は1988年12月2日に開業し、新型の7000形車両が営業運転を開始した。これは日本において昭和最後の鉄道路線の新規開業であった。最終的に選ばれた東区内のルートが、往来の多い区役所方面ではなく東15丁目屯田通を経由する折衷案であったため、開業当初の利用者数は見込みを大きく下回り、市民から一時「政治路線」と揶揄された。一方、終点側でも北野周辺の人口の伸びが予想を下回っていたことから、札幌市は既に1987年9月1日に延伸計画を北野より3駅手前の福住までに短縮していた。
豊水すすきの - 福住間の建設は1990年1月8日に着工され、この5.5キロメートルの延伸区間は1994年10月14日に開業して、路線は現在の長さで全通した。この延伸に合わせて7000形5編成20両が増備された。建設費削減のため延伸区間の駅はすべて島式ホームで統一され、ホーム長も6両分しか整備されなかったのに対し、先行開業した栄町 - 豊水すすきの間の各駅は8両編成対応の長さで建設されていた。実際には東豊線の列車は一貫して4両編成のままである。
その後の数十年で路線は着実に近代化された。ICカード「SAPICA」は2009年1月30日に導入された。2015年5月8日からは新型の9000形車両が7000形の置き換えを開始し、7000形は2016年6月25日に営業運転を終えた。札幌市営地下鉄で路線開業時の車両が最後まで運用されていたのが、この東豊線であった。9000形によるATO(自動列車運転装置)運転は2016年7月18日に始まり、可動式ホーム柵は2017年3月24日までに全駅で設置を完了、ワンマン運転は2017年4月1日に開始された。
今日、東豊線は札幌の市営地下鉄3路線の中で最も利用者が少ないが、その利用客数は増加傾向にある。英語版ウィキペディアは2023年の一日あたり利用者を約14万500人、2019年のおよそ94パーセントと記している。車両は路線内に車両基地がないため、専用の連絡線を通じてさっぽろ駅から行き来する東西線の西車両基地に所属している。2022年9月8日の夜には、線路上に侵入したキツネが原因で運行中の電車が二度にわたり一時停止するという珍しい事例があった。これは野生動物の侵入で札幌市営地下鉄の営業に支障が出た初めての事例であった。
年表
- 1971札幌市長期総合計画にて、地下鉄3号線(第二南北線)として元町 - 山鼻間11kmの計画が盛り込まれる。
- 19808月9日:札幌市議会にて3号線の建設を可決。
- 19821月30日:栄町駅 - すすきの駅(仮称)間の地方鉄道敷設免許を取得。
- 19837月6日:栄町駅 - すすきの駅(仮称)間が着工。
- 19879月1日:終点側の延伸計画を、北野より3駅手前の福住までに短縮。
- 19889月28日:豊水すすきの駅 - 福住駅間の鉄道事業免許を取得。
- 198812月2日:栄町駅 - 豊水すすきの駅間(8.1km)が開業し、7000形車両が営業運転を開始。日本における昭和最後の鉄道路線の新規開業であった。
- 19901月8日:豊水すすきの駅 - 福住駅間が着工。
- 199410月14日:豊水すすきの駅 - 福住駅間(5.5km)が延伸開業し、全通。7000形5編成20両を増備。
- 20091月30日:ICカード「SAPICA」を導入。
- 20155月8日:9000形車両が営業運転を開始し、7000形の置き換えが始まる。
- 20166月25日:7000形車両が営業運転を終了。札幌市営地下鉄で路線開業時の車両が運用されていたのは東豊線が最後であった。7月18日:9000形によるATO自動運転を開始。
- 20173月24日:可動式ホーム柵が全駅で設置完了。4月1日:ワンマン運転を開始。
- 20229月8日:線路上に侵入したキツネが原因で電車が二度一時停止。野生動物の侵入で札幌市営地下鉄の営業に支障が出た初の事例となった。
出典
事実確認日:2026年6月14日