歴史
この事業は長い計画の歴史から生まれた。早くも1978年には茨城県が混雑緩和のための「第二常磐線」構想を打ち出し、1985年には常磐新線の新設が、東京圏の鉄道計画を方向づける運輸政策審議会の答申第7号に盛り込まれた。決定的な前進となったのが、1989年の「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」、いわゆる「宅鉄法」の制定であり、これによって鉄道建設が沿線の宅地開発と一体で進められることになり、用地と資金が確保された。
この計画を実行するため、1991年3月15日に首都圏新都市鉄道株式会社が設立された。出資したのは路線が通る4都県と十数の市町村である。宅鉄法に基づく国の基本計画は同年中に承認され、会社は1992年に第一種鉄道事業免許を取得した。当初の構想は東京駅から守谷までの路線であったが、東京駅へ達するための費用がかさむため、起点を東京駅ではなく秋葉原とすることになった。
建設は1994年10月28日の秋葉原での起工式をもって本格的に始まった。その後の約10年間、路線は密集した郊外を掘り進み、また高架で抜けていったが、踏切を完全になくすため、全体のおよそ4分の1が地下、残りの大半が高架または掘割とされた。2001年2月には、運営会社が計画名に代わる旅客営業上の路線名「つくばエクスプレス」を発表した。
秋葉原~つくば間は2005年8月24日に開業し、都心とつくばの科学都市との間の所要時間をおよそ45分に短縮した。経路が石岡の地磁気観測所の区域を通るため、全線を直流で電化することができず、守谷より南は直流1,500ボルト、北は交流20,000ボルト・50ヘルツで電化されており、全線を走る列車は交直流両用でなければならない。直流専用のTX-1000系が南側区間を担い、交直両用のTX-2000系が、2020年3月14日からは新型のTX-3000系も加わって、全線で運用されている。
利用は急速かつ力強く伸びた。開業初年度の1日平均利用者は約150,700人で、累積輸送人員は2007年3月に1億人を突破し、会社が目標としていた1日27万人は2009年4月に、予定より何年も早く達成された。利用者は2019年度に1日約395,400人の最高記録に達したが、新型コロナウイルスの流行で2020年度には約277,900人に落ち込み、その後回復してかつての最高記録を上回り、2024年度には1日約403,000人に達した。
こうした持続的な伸びと、それがもたらした激しい朝の混雑は、運営会社に大規模な輸送力増強の計画を促した。2019年5月31日、会社は列車を6両編成から8両編成へ増結することを正式に決定した。工事には10年以上を要する見込みで、8両編成の運行は2030年代前半に始まる予定であり、1編成当たりの輸送力を約30パーセント高め、朝ラッシュ時の混雑率を150パーセント以下に引き下げると見込まれている。
年表
- 1978茨城県が常磐線の混雑緩和のための「第二常磐線」構想を打ち出す。
- 19857月11日:常磐新線の新設が運輸政策審議会答申第7号に盛り込まれる。
- 19896月:「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」(宅鉄法)が制定され、鉄道建設が沿線の宅地開発と一体化される。
- 19913月15日:路線建設のため首都圏新都市鉄道株式会社が、沿線の4都県・各市町村の出資で設立される。10月23日には宅鉄法に基づく基本計画が承認される。
- 19921月:会社が第一種鉄道事業免許を取得。東京駅への到達は費用がかさむため、起点はすでに東京駅から秋葉原へ変更されていた。
- 199410月28日:秋葉原で起工式が挙行され、本格的な建設が始まる。
- 20012月2日:計画名「常磐新線」に代わる路線名称「つくばエクスプレス」が発表される。
- 20058月24日:秋葉原~つくば間が開業。58.3km・20駅、全線立体交差、最高130km/h、守谷以南は直流1,500V・以北は交流20kV/50Hzで電化。開業初年度の1日平均利用者は約150,700人。
- 20073月:累積輸送人員が1億人を突破する。
- 20094月:会社の目標であった1日27万人の利用を、予定より早く達成する。
- 20113月11日:東日本大震災により全線で運転を見合わせ、その後段階的に再開する。
- 20192019年度に1日約395,400人の最高記録に達する。5月31日、会社は6両編成から8両編成への増結を正式決定。8両運行は2030年代前半の予定。
- 20203月14日:新型のTX-3000系が運行を開始。2020年度は新型コロナウイルスの影響で1日約277,900人に減少する。
- 20242024年度には利用がかつての最高記録を上回り、1日約403,000人に回復する。
出典
事実確認日:2026年6月14日