歴史
名古屋から尾張地方西部へ鉄道を敷設しようとする動きは、鉄道黎明期から存在した。名古屋から津島を経て桑名に至る「尾勢電気鉄道」計画は1889年6月に出願されたが、当時の電気鉄道の技術が未成熟で実現は困難であるとして却下された。その後まもなく、この地方初の私鉄として関西鉄道(現在のJR関西本線)が開業したが、同線は津島を経由しなかった。1890年代後半の鉄道建設ブームのなか、名古屋と津島とを結ぶ鉄道計画が多数出願されたものの、いずれも関西鉄道との競合を理由に全て却下された。
名古屋 - 津島間の鉄道の模索は1900年代後半も続き、この頃には私設鉄道法による「鉄道」ではなく軌道条例による「軌道」として特許を得るケースが増えていた。1906年11月には、尾張電気鉄道・津島電気鉄道・名古屋電気鉄道の三社がそれぞれ名古屋 - 津島間の鉄道計画を申請している。競合の末に名古屋電気鉄道が敷設権を勝ち取り、1907年に軌道条例による特許が下付された。後に電車・貨車の連結運転のため、軽便鉄道法による軽便鉄道へと変更された。
同社の計画路線は津島街道に沿い、「郡部線」が庄内川を渡る枇杷島橋(現在の枇杷島分岐点)から枝分かれするルートを取っており、佐屋街道経由と比べると遠回りであった。津島線は申請の段階では他の郡部線計画より先行していたが、用地買収と橋梁材の製作に手間取ったため建設は遅れ、測量は1910年10月頃に始まり、工事は1912年12月に津島方面から着手された。河川の多い沿線では橋梁と氾濫をめぐって意見が分かれたため、名電や地元自治体は愛知県に調停を求め、1913年6月頃に解決した。路線は1914年1月に完成し、同月23日に枇杷島橋 - 須ヶ口 - 新津島間として開業した。
開業は地域の鉄道事情を大きく変えた。1921年に名古屋電気鉄道は津島線などを(旧)名古屋鉄道へ譲渡し、1925年には対抗していた尾西鉄道も同社へ鉄道事業を譲り渡したため、津島駅は名鉄の駅となり、新津島・津島間の不便な乗換問題は1931年に両駅を統合することで解決した。会社は1930年に名岐鉄道と改称し、1935年に愛知電気鉄道と合併して現在の名古屋鉄道となった。1941年に新名古屋駅(現・名鉄名古屋駅)を通る東西連絡線が開通すると、枇杷島橋 - 須ヶ口間が名岐線に編入され、津島線は現在の須ヶ口 - 津島間となった。
路線は開業当初は600ボルトで電化されていたが、1948年5月12日に架線電圧が1,500ボルトへと昇圧された。海抜ゼロメートル地帯を含む低湿地帯を走るため、たびたび水害に見舞われており、1959年9月26日には伊勢湾台風によって全線が冠水し、減水に伴って10月から11月下旬にかけて段階的に運転が再開された。さらに1961年6月には集中豪雨で再び冠水している。伊勢湾台風罹災後の復興では沿線のベッドタウン化が進み、通勤通学路線としての性格を強めていった。
1960年代以降、路線は段階的に改良された。1968年には津島駅付近が高架化され、1981年1月には8両編成の運行が始まり、2002年には勝幡 - 津島間が立体交差化された。水害と無縁ではなく、2000年9月の東海豪雨では津島線および複数の駅構内が冠水し、9月13日に復旧した。2005年にはトランパスの導入によりプリペイドICカードが利用できるようになり、現在では全ての駅でmanacaなどの交通系ICカード全国相互利用サービス対応カードが使用できる。
年表
- 18896月:名古屋から津島を経て桑名に至る「尾勢電気鉄道」計画が出願されるが、当時の電気鉄道の技術が未成熟であるとして却下される。
- 190611月5日:名古屋市押切町 - 海東郡津島町間の軌道敷設特許を申請。名古屋 - 津島間をめぐり三社が競願する。
- 190712月10日:名古屋電気鉄道に軌道特許状が下付される(後に軽便鉄道法による軽便鉄道へ変更)。
- 19123月12日:軽便鉄道法の適用を受ける。12月、津島方面より建設に着手。
- 19141月23日:津島線として枇杷島橋駅 - 須ヶ口駅 - 新津島駅間が開業する。
- 19217月1日:名古屋電気鉄道が津島線などを(旧)名古屋鉄道へ譲渡する。
- 19309月5日:社名を名岐鉄道に変更する。
- 193110月25日:新津島駅を尾西線の津島駅に統合する。
- 19358月1日:名岐鉄道が愛知電気鉄道と合併し、現在の名古屋鉄道となる。
- 19418月12日:枇杷島橋駅 - 須ヶ口駅間が名岐線に編入され、津島線は須ヶ口駅 - 津島駅間となる。
- 19485月12日:架線電圧を600ボルトから1,500ボルトに昇圧する。
- 19599月26日:伊勢湾台風によって津島線全線が冠水。10月から11月下旬にかけて段階的に運転を再開する。
- 19616月27日:集中豪雨により冠水し、甚目寺駅以西を運休する。
- 19685月3日:津島駅付近が高架化される。
- 19811月8日:8両編成の運行を開始する。
- 20009月11日:東海豪雨により津島線および複数の駅構内が冠水。9月13日に復旧する。
- 20027月13日:勝幡駅 - 津島駅間が高架化(立体交差化)される。
- 20057月14日:トランパスを導入する。
出典
事実確認日:2026年6月14日