歴史
この路線は、一般的な鉄道会社ではなく不動産会社の鉄道事業本部が運営している点で珍しい。第三セクターを除く純民間資本によって建設・運営されたAGTとしては日本初の事例であり、2021年時点で国内のもう一つの純民間資本によるAGTは西武鉄道の山口線のみであった。西武鉄道は普通鉄道も運営しているため、AGTのみを事業とする純民間の事業者の路線はこのユーカリが丘線だけとなっている。6つの駅は、各駅ともニュータウンの住居から徒歩10分圏内になるよう意図的に配置されている。
鉄道事業法に基づく「鉄道」であり、日本車輌などが開発した「VONA」と呼ばれる中央案内式の案内軌条方式を採用している。この方式はユーカリが丘線の開業以前、千葉県習志野市の谷津遊園にアトラクションとして設置されていたものである。愛知県小牧市の桃花台線が2006年10月1日に廃止されて以降、ユーカリが丘線は日本のAGTで唯一、案内軌条に中央案内式を採用した路線となっている。全線が単線で踏切は存在せず、最大勾配は45パーミル、最小曲線半径は40メートルである。
運転は片方向の環状運転として行われる。ユーカリが丘駅 - 公園駅間は両方向に運転される単線であり、公園駅 - 女子大駅 - 公園駅間は片方向のみの環状線となっている。ユーカリが丘駅を出発した列車は公園駅から環状線を反時計回りに回り、再び公園駅を経てユーカリが丘駅へ戻る。全行程の所要時間は約14分で、逆方向に運転される列車はない。全線でワンマン運転(都市型ワンマン方式)が行われており、2022年12月ごろからは自動放送が新しい女性の声に更新されるとともに、英語放送も導入された。
路線は2段階に分けて開業した。最初の区間であるユーカリが丘駅から女子大駅を経て中学校駅までが1982年11月2日に開業し、続いて中学校駅から井野駅を経て公園駅までの区間が1983年9月22日に開業して全線開業となり、環状運転が始まった。車両は日本車輌が製造した山万1000形で、1982年の開業時から使用されている。車両には開業10周年の1992年から「こあら号」の愛称と前面のコアラのマークが付けられており、小型の車両のため冷房装置は搭載されていない。その後、1992年12月3日には地区センター駅が開業した。
2011年3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)により、この日から全線が運休となった。運転は2011年4月1日に再開されたが、7日までは昼間を運休してバス代行が実施された。その後この路線はキャッシュレス化の実証の場ともなり、2021年9月15日から顔認証乗車システムの実証実験が行われ、2024年6月15日には山万が顔認証乗車システム「ユーカリPASS」とQRコード乗車券を導入した。これに先立つ前日の2024年6月14日には、磁気による乗車券・定期券の発売を終了している。運賃は均一制で、PASMOやSuicaなどのIC乗車券は使用できない。
この路線は安全運転の実績でも知られ、1982年の開業以来、人身事故などの運行障害を起こすことなく運転を続けており、2014年時点で32年間の無事故運転を達成し、山万は無事故事業者として国土交通省関東運輸局長から繰り返し表彰を受けている。AGTに分類されるものの、現地の広告などではしばしばモノレールと表記される。ユーカリが丘線は、ユーカリが丘ニュータウンを結び、京成本線と接続するユーカリが丘駅で住民を広域の鉄道網へとつなぐことを主な目的とする、小規模で完結した路線であり続けている。
年表
- 198211月2日:最初の区間であるユーカリが丘駅 - (女子大駅) - 中学校駅間が開業。山万1000形が運用を開始。
- 19839月22日:中学校駅 - (井野駅) - 公園駅間が開業して全線開業。環状運転を開始。
- 1992開業10周年を機に、車両に「こあら号」の愛称と前面のコアラのマークが付けられる。
- 199212月3日:地区センター駅が開業。
- 200610月1日:愛知県の桃花台線の廃止により、ユーカリが丘線が日本のAGTで唯一の中央案内式(VONA)路線となる。
- 20113月11日:東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)が発生し、この日から全線運休となる。
- 20114月1日:全線で運転を再開。ただし7日まで昼間は運休してバス代行を実施。
- 20219月15日:顔認証乗車システムの実証実験を開始(2022年1月末まで実施)。
- 20246月14日:磁気による乗車券・定期券の発売を終了。
- 20246月15日:顔認証乗車システム「ユーカリPASS」並びにQRコード乗車券を導入。
出典
事実確認日:2026年6月14日