歴史
ブルートレインの時代は、ふつう1958年(昭和33年)10月1日に始まったとされる。この日、東京と博多を結ぶ夜行特急「あさかぜ」が、新造の20系客車に置き換えられたのである。20系は日本の客車史における画期であった。日本の客車として初めて「固定編成」の考えに基づいて造られ、初めて全車両に空調を備え、そして青15号とクリーム1号からなる塗色——この一群の列車全体の呼び名のもととなった青い装い——をまとっていた。「あさかぜ」は、快適でホテルのような夜行列車が花形たりうることを示し、国鉄はこの構想を全国へと広げていった。
1960年代を通じて愛称付き夜行特急の網は広がり、第二世代の寝台客車が続いた。1970年代前半の14系・24系であり、後者の24系25形は1974年に登場して、初期の手狭な車両より広い寝台を備えていた。黄金期は同じ年代の末に頂点を迎える。1978年ごろには本格的な「ブルトレブーム」がマスコミで沸き起こり、列車は小説や雑誌、テレビをにぎわせた。その年の3月にはTBSが「富士」を追ったドキュメンタリーを放送している。子どもたちは「富士」「はやぶさ」「さくら」「みずほ」「出雲」といった愛称付き列車の写真を集め、各列車の最後部を飾るテールマークは収集の的となった。
やがて訪れた衰退は、突然ではなく構造的なものだった。1975年に山陽新幹線が博多まで達し、続いて1976年には国鉄の運賃・料金が大幅に値上げされた。両者はあいまって、西へ向かう長距離の寝台列車から乗客を引きはがし始めた。その後の数十年で、高速鉄道網、地方空港、高速道路の夜行バス、そして下がりゆく航空運賃が、同じ旅をより速く、より安く果たす手段を次々と差し出した。夜行運転の採算もまた寝台列車には不利だった。夜間に乗務員や駅員を確保するのは費用がかさみ、1987年の国鉄分割民営化のあとに複数の鉄道会社をまたぐ列車は、重い調整の負担を背負った。置き換えに費用のかかる14系・24系客車の老朽化が、その帰結を決定づけた。
数字はそれを端的に物語る。JR東日本の調べによれば、2005年における東京から西へ向かうブルートレイン運行路線全体の利用は、1987年と比べておよそ5分の1——約21パーセントの水準——にまで落ち込んでいた。廃止はその後、波のように続いた。「さくら」と元祖「あさかぜ」は2005年3月1日に廃止され、「出雲」が2006年3月17日にこれに続き、「なは」「あかつき」「銀河」が2008年3月15日に姿を消した。九州方面の最も名高い二列車「はやぶさ」「富士」は2009年3月14日に最後の旅立ちを迎えた。「北陸」は2010年3月13日に終わり、「日本海」は2012年に臨時列車へと縮小され、「あけぼの」も同じく2014年3月15日に臨時列車へと退いた。
最後まで残った長距離寝台の大物は、北海道へ向かう列車と日本海沿いを走る列車だった。1989年から走り続けたJR西日本の豪華な「トワイライトエクスプレス」は、2015年3月12日に最後の定期運行を行った。上野と札幌を結ぶ名高い夜行「北斗星」は2015年3月13日に定期運行を終え、2015年8月22日に臨時列車として最後の運行を行った——この日はしばしば、約60年にわたるブルートレインの歩みが幕を閉じた日とされる。同じ北海道路線の二階建て豪華寝台「カシオペア」は、2016年3月に定期運行を終えた。
在来線の寝台列車で一つだけ、この淘汰を生き延びたものがある。1998年7月10日に登場し、JR東海とJR西日本が共同で保有する285系電車である。これは併結された「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」を担い、両列車は東京を一本で出発したのち途中で分割され、出雲市と高松へと向かう。1999年にブルーリボン賞に輝いたこの車両は、今や日本で定期ダイヤに残る唯一の夜行列車であり、かつて密に張りめぐらされた網のただ一つの生き残りである。
しかし寝台列車は、市場の対極で、超豪華な「クルーズトレイン」として生まれ変わった。これらは単に乗客を地点間で運ぶのではなく、数日がかりの周遊の旅を走り、世界で最も格式高い列車の一つに数えられる。先頭を切ったのはJR九州で、豪華寝台周遊列車「ななつ星 in 九州」は2013年10月15日に営業運転に入った。JR東日本はこれに続き、10両編成の「TRAIN SUITE 四季島」(E001系)を2017年5月1日から走らせている。JR西日本は2017年6月17日に「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」(87系)を導入した——その名と紋章は、2015年に終わった往年の「トワイライトエクスプレス」を意図的に受け継いでいる。青い夜行特急は去ったが、日本の列車に乗って眠るという発想は、はるかに稀少でより壮麗な姿となって、今も生き続けている。
年表
- 1958ブルートレインの時代が始まる。夜行特急「あさかぜ」(東京〜博多)が新造の青い20系客車に置き換えられる(10月1日)。
- 197424系25形寝台車が登場し、初期車両より広い寝台を備える。
- 1975山陽新幹線が博多まで開業し、西方面の寝台列車から客を奪い始める。
- 1978「ブルトレブーム」がマスコミで最高潮に。3月にはTBSが「富士」を追ったドキュメンタリーを放送。
- 1989JR西日本が豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス」の運行を開始。
- 1998285系寝台電車が登場(7月10日)。JR東海とJR西日本が共同で保有。
- 2005「さくら」と元祖「あさかぜ」が廃止(3月1日)。この頃の西行きブルートレイン利用は1987年の約21%。
- 2006寝台特急「出雲」が廃止(3月17日)。
- 2008「なは」「あかつき」「銀河」が廃止(3月15日)。
- 2009九州方面の名高い寝台「はやぶさ」「富士」が最終運行(3月14日)。
- 2010寝台特急「北陸」が廃止(3月13日)。
- 2013JR九州の豪華クルーズ寝台「ななつ星 in 九州」が営業運転を開始(10月15日)。
- 2014「あけぼの」が臨時列車へと縮小(3月15日)。
- 2015二つの象徴が終わる。「トワイライトエクスプレス」(3月12日)と「北斗星」の定期運行(3月13日)。「北斗星」の臨時最終運行は8月22日で、ブルートレイン時代の幕引きとされる。
- 2016「カシオペア」が定期運行を終了(3月)。定期の夜行は「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」のみとなる。
- 2017豪華クルーズトレインがさらに二つ登場。JR東日本「TRAIN SUITE 四季島」(E001系、5月1日)とJR西日本「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」(87系、6月17日)。
出典
事実確認日:2026年6月14日