歴史
この路線は、参宮急行電鉄(参急)により、大阪から伊勢神宮への速達ルートを開く目的で、国営の参宮線と直接競合する形で建設された。最初の区間である松阪駅 - 外宮前駅(現在の宮町駅)間が1930年3月27日に開業し、続いて1930年5月18日に参急中川駅(現在の伊勢中川駅) - 松阪駅間、1930年9月21日に外宮前駅 - 山田駅(現在の伊勢市駅)間が開業した。1930年12月20日には現在の大阪線の全通により、上本町駅(現在の大阪上本町駅) - 山田駅間で直通運転が始まった。最後の区間である山田駅 - 宇治山田駅間が1931年3月17日に開業して、当時参急本線と呼ばれた路線が全通した。
新しい鉄道は、ライバルとほぼ同時に開業した。1930年、地元企業の伊勢電気鉄道(伊勢電)が、松阪と伊勢の間に競合路線を建設し、これは桑名・名古屋方面へ延びる路線の一部であった。参急とその親会社である大阪電気軌道(大軌)が関西系の企業であったため、伊勢電は地元企業としての意地からほぼ同時期に建設したものである。しかし、この無理な伊勢進出が祟って伊勢電は経営に行き詰まり、1936年9月15日に参急に買収され、その本線は参急伊勢線(名古屋伊勢本線)と改称された。参急は宇治山田に至るほぼ並行する2路線を抱えることになり、その整理に着手して、参急中川駅を大阪・名古屋・宇治山田方面の列車が合流する分岐点と位置づけた。
参急は子会社の関西急行電鉄を通じて、伊勢電が果たせなかった名古屋進出を1938年に達成した。1941年には各社が再編され、1941年3月15日に大軌が参宮急行電鉄を合併して関西急行鉄道(関急)となり、伊勢中川駅より東の区間を山田線、西の区間を大阪線とした。同時に参急中川駅は伊勢中川駅に、参急中原駅は伊勢中原駅に改称された。山田線と並行する伊勢線の重複区間、新松阪駅 - 大神宮前駅間は1942年に廃止された。1944年6月1日、関急はさらに南海鉄道との合併を経て近畿日本鉄道となり、路線は現在の名称である近鉄山田線となった。
山田線は長らく名古屋から直通できなかった。これは、山田線が1,435ミリメートルの標準軌で建設されたのに対し、名古屋方面の路線が1,067ミリメートルの狭軌であったためで、旅客は伊勢中川駅で乗り換える必要があった。1959年9月の伊勢湾台風が名古屋線に大きな被害を与えると、近鉄は復旧にあわせて同線を1,435ミリメートルに改軌し、軌間の違いが解消されて、1959年12月12日に名古屋 - 宇治山田間の直通運転が始まった。この時期の出来事としては、1959年7月15日に山田駅が伊勢市駅に改称されたこともあり、大阪・名古屋の双方から神宮の町への直通が実現したことで、参詣路線としての役割はいっそう深まった。
1960年代以降、この路線は速達直通運転のために段階的に強化された。1968年3月1日には自動列車停止装置(ATS)が全線で使用を開始した。1988年3月18日に特急の120キロメートル毎時運転が始まり、1992年3月には輸送力増強のため櫛田駅・明野駅に特急用の通過線が設置された。1994年3月15日に23000系「伊勢志摩ライナー」が登場すると、特急の130キロメートル毎時運転が始まった。宇治山田駅から先への直通は、すでに1970年の鳥羽線開業により賢島方面へ拡大しており、鳥羽線が山田線とそれまで孤立していた志摩線を結んで、3路線が一体の伊勢志摩ルートとなった。
近年は合理化と観光重視の運行が進んだ。ワンマン(車掌のいない)運転は2001年5月30日に宮町駅 - 宇治山田駅間で導入され、2004年3月18日に全線へ拡大し、PiTaPa・ICOCAのICカード対応は2007年4月1日に各駅で始まった。この路線で最もよく知られる列車は2013年3月21日に登場し、50000系「しまかぜ」観光特急が伊勢志摩へ向けて運転を開始した。今日でも山田線は活況を呈する観光路線であり、松阪 - 伊勢市間でJR東海の単線・非電化の紀勢本線・参宮線と競合しているものの、複線・全線電化と頻繁な特急・急行・普通列車によって、伊勢神宮への鉄道の主要なアプローチであり続けている。
年表
- 19303月27日:参宮急行電鉄(参急)が最初の区間、松阪駅 - 外宮前駅(現在の宮町駅)間を開業。
- 19305月18日:参急中川駅(現在の伊勢中川駅) - 松阪駅間が開業。
- 19309月21日:外宮前駅 - 山田駅(現在の伊勢市駅)間が開業。
- 19313月17日:山田駅 - 宇治山田駅間が開業し全通(当時の参急本線)。1930年12月20日より上本町駅(現在の大阪上本町駅)から山田駅まで運転されていた直通が、宇治山田駅まで達した。
- 19369月15日:参急が伊勢電気鉄道(伊勢電)を買収し、その本線を参急伊勢線(名古屋伊勢本線)と改称。
- 193711月3日:参急松江駅を廃止し、名古屋伊勢本線との乗換駅として松ヶ崎駅が開業。
- 19413月15日:大阪電気軌道(大軌)が参宮急行電鉄を合併して関西急行鉄道(関急)となり、伊勢中川駅 - 宇治山田駅間を山田線とする。参急中川駅を伊勢中川駅、参急中原駅を伊勢中原駅に改称。
- 1942山田線と並行する伊勢線の新松阪駅 - 大神宮前駅間が廃止される。
- 19446月1日:関西急行鉄道が南海鉄道と合併して近畿日本鉄道が設立され、路線は近鉄山田線と改称。
- 19597月15日:山田駅を伊勢市駅に改称。
- 195912月12日:伊勢湾台風の被害を受けた名古屋線が1,435mmに改軌された後、名古屋 - 宇治山田間の直通運転を開始。
- 19683月1日:全線で自動列車停止装置(ATS)の使用を開始。
- 19883月18日:特急の120km/h運転を開始。
- 19943月15日:23000系「伊勢志摩ライナー」が営業運転を開始し、特急の130km/h運転を開始(1992年3月に櫛田駅・明野駅へ特急用の通過線を設置済み)。
- 20043月18日:2001年に宮町駅 - 宇治山田駅間で導入されたワンマン運転を全線に拡大。
- 20133月21日:観光特急50000系「しまかぜ」が営業運転を開始。
出典
事実確認日:2026年6月14日